『山寺清朝』(外山滋比古 2017年、展望社)、サブタイトルは「外山滋比古エッセイ集」を読んだ。以下は気になる個所から。
★毎年花はつけるが実がならない。昔の人が、浜風三里、と言った。みかんの適地のことである。地図をひっ張り出して、はかってみると、東京湾の北限とうちの当たりまでの距離は10キロ弱である。浜風三里(十二キロ)の範囲内である。うまく育つかもしれないと希望をいだく。59p
ミカン類が実るのは浜風三里とはこの本で初めて知る。母が米寿の時、母の孫は母の娘である姉と私の家にレモンの木をお祝いにくれた。これを土に戻して8年後にレモンが1,2個実をつけた。ところが姉の家は市内北部にあり、1個も実らず、寒さで枯れた、と思った。この本に由るとそうではなく、浜風三里の地に植えてないのが原因のようだ。そういえば瀬戸内海の島々はミカンの産地。温暖な気候でしかも浜風がしっかりあたる地域にある。
★ひところインドのカレー料理をおいしいと思って、名店へ通ったこともあるが、やはりあきる。ゲルマン系諸国には料理といえるものなし、スラブも問題外、ときめて日本の家庭料理を見直すようになる。67p
いろんな国へ出かけて各国の料理を口にする。確かにゲルマン系諸国もスラブも美味しいと思って食べたことがない。特にと国名をあげようとするがそれは失礼なのでやめよう。食に関しては日本に勝るものなし、そう言えそうだ。
昨日やっと井上靖の『孔子』を読み終える。1冊の本を読むのに何百回かそれ以上も電子辞書の手書き入力で文字を調べた。読み終えた後の爽快感。大きな何かをやり遂げた気がする。買ってそのままにしていた本を何十年ぶりで読んだ。昨夜、この本のレヴューをネットで探していると井上靖の『孔子』に関する動画があった。みじかい動画であっても『孔子』にかける思いが伝わってくる。
確か、会社をリタイアしたころ、今から16年前のことになるだろう。パキスタンの旅で知り合った米子の人の車で鳥取県米子市にある井上靖記念館に連れて行ったもらったことがある。海外に行き始めて、それもシルクロードに出かけて以降、井上靖の本を読み始めた。その時、井上靖のことを友だちに話したのだろう。記念館に連れて行ってもらえたことは本当によかった。『孔子』を読み終えて次はモンゴルの本を読むつもり。エッセイ類をよく読む。時にこういった難しい本を読むのも頭の体操になるかもしれない。
そういえば『孔子』の付録に小さな冊子がついている。それには井上靖が『孔子』執筆前にその取材を兼ねて何度も中国に行かれた時のことが書いてある。特に孔子の生きていた時代の楚の国の負函の街に感慨深げに佇む筆者の姿を見て感動する。今の信陽らしい。そこは今は一面の大平原になっている。私もこの地に立ってみたい。どういっても井上靖は『孔子』執筆までに20年の歳月をかけて構想を練った。『孔子』は井上靖の絶筆である。
また冊子に書いてあるその当時の井上靖の紀行文。この紀行文の書き方にも惹かれる。これから海外や国内の旅に出かけた後の旅の記録は井上靖の書き方を真似しよう。とはいっても簡単なことではない!
ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!
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