2018年3月12日月曜日

父の祥月命日&日曜美術館「イレーヌ ルノワールの名画がたどった140年」

 今日は父の祥月命日。いなくなって丸28年になる。一昨日、飾っている父の写真を見ると色褪せている。昨日、写真をケースから取り出して焼き増しをお願いする。以前も他の写真を写真から焼きなおした。もう二度とは父の姿を写真に撮ることはできない。自分が生きている限り、できるだけ両親の供養をしよう。

 写真と言えば、今回の旅で遺影のために写真を撮る、と話した人がいる。その気持ちが伝わったのか久しぶりに自分の写真を4枚撮る。撮ったのはコアラを抱っこした写真、南太平洋をバックにした写真、掌に鳥を乗せた写真、そしてイギリスからオーストラリアに移住した夫人が毎日同じ場所に座って故郷に想いを馳せたという場所で写した写真。今回の旅はどういっても飛行時間がこれまでの旅よりも短かく、疲れることもなくて写る気になったのかもしれない。

 そうはいっても「遺影」を考えることはない。多分これからもそういうことは考えない。まずは「生きる」ことが最優先になる。

 話は変わって昨夜の日曜美術館。「イレーヌ ルノワールの名画がたどった140年」と題された番組。HPには「愛らしい少女の肖像『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢』。ルノワールの代表作は、ナチスによる略奪など想像を超える物語を秘めていた。一枚の絵を多面的に語り尽くす。ルノワールの代表作『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢』。裕福なユダヤ人富豪の令嬢を描いた肖像画には、想像を超える激動の物語が秘められている。モデル・イレーヌの家族を襲ったホロコーストの悲劇。ナチスによる肖像画の略奪。そして戦後、奇跡的な肖像画の再会。ピアニスト・西村由紀江さん、カメラマン・渡辺達生さん、多摩美術大学教授・西岡文彦さんが、それぞれの視点から名画が秘めた『美の物語』を語る」とある。

 またもやナチス、と目が釘付けになる。ドイツはポーランドに侵攻して以降、次々とヨーロッパ全土を戦争へと導く。当時はヒトラー政権の時代。ヒトラーは美術家になりたかったらしい。それゆえヒトラーはユダヤ撲滅と西洋の美術品を略奪して壮大な美術館を建設するという2つの夢を抱いた。略奪した美術品は数十万点にも及び、いまもなおそのうちの数万点は所在不明らしい。

 当時の画風は印象派時代。ルノワールはイレーヌの両親から娘の絵を描くことを依頼される。しかし、イレーヌの両親はルノワールの描いた絵を見て他の人の描いた絵の巧さと比べ、気にいらない。パトロンと思ったのも束の間、イレーヌからの依頼は減少していく。イレーヌ一家はユダヤ人だった。強制収容所に送られ、絵も没収される。のちにアメリカはナチスが略奪した美術品の奪還を任務とした。それはナチスドイツに兵器を搬入して、その代金で印象派の美術品の購入(取り戻すこと)となったのである。収容所で生き延びたイレーヌはパリに戻り、91歳でスイスで亡くなる。イレーヌの絵もベルリンで発見されて手元に戻る。だが、イレーヌは自分が描かれた絵を3年後に売り渡す。買い取ったビュールレはプライベート・コレクションの自分の美術館で保管する。

 ルノアールがいま生きていればどう思うのだろう。この美少女の絵は世の人々の注目を浴びている。東京で展示後、福岡に回って来る。その時は見に行こう。それにしてもなぜイレーヌは自身の肖像画を手放したのだろうか。昨夜の番組でもこれを問題にしていたが…。

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

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