2014年9月1日月曜日

『日本人に生まれて、まあよかった』

 毎日見ている人の昨日のブログ。「一週間で5千人を超える搬送者数を記録した熱中症者数や80人近い死者を出した広島のゲリラ豪雨。天気のことばかりが話題になった夏もようやく終息に向かい、明日からは9月だ」。同じ日本に住んでいても地域によってお天気の違いは大きい。広島はこれから晴れの日が続くと思ったら昨日1日だけで今日は雨になりそうだ。

 平川祐弘『日本人に生まれて、まあよかった』(新潮社、2014年)を読んだ。昨年台湾へ行った。その時一番感じたことは同じ植民地政策を日本がとっても、何故、台湾は親日で韓国は嫌日なのかということだった。この答えはわからずじまい。ところがこの本を読んでこの問題は解決した。濃い線がその個所である。

 本のタイトル通り、日本人に生まれてよかった、と思っている。特に短いながらも海外に出かけて日本を見ると、それを感じる。ところが、外国で暮らして帰国した人の中に、あたかも自分は他の日本人よりも優越感を持とうとするのか日本や日本人を悪く言う人がいる。こういう人に是非とも読んでもらいたい。日本の何がいいといって一番は言論などの自由があること。政治的なことは言いたくないが、やはり自由はいい!何もかもトップの鶴の一声で決まる国だけは住みたくない!

 以下はまたいつものように気になる個所を抜粋したもの。

 本の裏表紙には「日本人に生まれて、まあよかった—夏目漱石の言葉は、昭和を生き抜いた著者の実感でもある。ところがいつの間にか、日本人は自信を失い、日本は「もてない」国になってしまった。戦後の言論界はどこが間違っていたのか?この国を守り、再生させるための秘策とは?教育、外交、歴史認識、国防…あらゆる分野で求められるのが、自己卑下的な思考からの脱却である。碩学の比較文化史家による、本音の日本論!」とある。

※私は八十二歳の今日に至るまで、東アジア諸国の中で日本のように言論の自由がみとめられている国に生を享けたことは、例外的な幸福であると感じています。…私は類まれな幸福を誇りに思い、言論の自由、表現の自由を尊ぶものとして、その事実を率直に公言することを憚りません。…二〇一四年の日本は、普通の人にとっても本質的に良い社会です。このことは来日する外国人の多くが認めますが、海外生活や海外旅行を体験した日本人もひとしく認めるところかと思います。31-32p

※大新聞が作り出すイメージはおそろしい。東大法学部を出たくらいの秀才は『朝日新聞』の社説こそが正解だと決めてかかっています。今の日本ではその程度の人でも外務大臣や有力政党の幹事長になれるのです。私は長年そういう受験秀才を教えてきたので不安でたまりません。34p

 著者は自己卑下が美徳と化した日本の再生の処方箋を書く。35p

※自分の信ずる者だけが何でも尊いとする、他を顧みない偏狭な心を揶揄する「我が仏尊し」という言葉があります。それなのになぜ「吾がキリスト尊し」という言い方が許されないのでしょうか。これは考えてみると、キリスト教にかぎらず、一神教の熱心な信者については、同じであるらしい。43p

※中華人民共和国や大韓民国では表立って親日的な発言をすれば後難を恐れなければならない。いいかえると憲法に言論の自由は書かれているが、両国には実際問題として日本の悪口を言う言論の自由しかない。そんな近隣諸国であってみれば、その善意に期待しても日本の平和と安全を維持できるわけではなさそうです。61p

※菅直人という人も仙谷由人という人も鈍才だから妙な政治判断を下したのかというと、そうではない。彼らは戦後日本の教育情報空間の中で育った優等生で、いってみれば大新聞の論説通りに行動した。彼らは左翼系大新聞の模範解答通りの答えを述べた。彼らは元旦から朝日を拝まずに朝日新聞を拝んでいた。だからこそ失敗が続いたというのが私の見立てです。87p

※二十世紀の三大独裁者ヒトラー、スターリン、毛沢東でしょうが、その肖像をいまでも飾っている点はドイツ、ロシアと違う中国が、中国たる所以で、やはり、「特色ある社会主義」の国だと思います。103-104p

※日本人には他人が見ていようがいまいが、恥ずべき事をしてはお天道様やご先祖様にすまぬ、という感覚があります。そのような畏敬の念を感じて身を処する人は、近代的に言いかえれば、良心に従って行動しているのです。世間の義理を欠くことを惧れて、外的強制力の下に行動するだけではないでしょう。武士も「俯仰不愧天地」(ふひょうてんちにはじず)などと孟子の言葉を口にしました。……曲がったことはしたくない、という日本人の美学は清らかさを尊ぶ神道の倫理観と表裏一体の関係にあるのです。134p

※(圓山大飯店は)国民党統治時代は宋美齢が所有者でした。それが一度火事にあって燃え上がった。すると台北の市民が街頭に出てそれを見上げて喝采して喜んだ。台湾では宋美齢はそれほど人気がなかったということです。蒋介石の後妻であった宋美齢は、長男の蒋経国とはうまくいかず晩年はアメリカで暮らしました。150p

※戦前の日本警察に取って代わった国民党支配を、台湾人は「犬去って豚来る」といいました。国民党は台湾支配の最初の五百日間に、五十年間の日本統治よりも多いたい1万人を処刑しました。167p

※第二次大戦まで西洋では植民地化はキリスト教化・文明開化とほぼ同義と見られていました。日本も台湾植民地化を文明開化の事業として構想しました。ただし宗教を広めて死後の命を救う代わりに、衛生を広めて人の命を救おうとしたところが台湾総督府民政局長であった後藤新平の偉大さです。その植民地経営はいまも台湾人に高く評価されています。…清らかさを尊ぶ神道の心が衛生を尊ぶ思想の背後にあるからだと私は考えます。169p

※西洋の植民地支配は肯定するが、日本のそれは非難する者がいます。偏した見方ではないでしょうか。……問題は日本が台湾統治に成功したことです。実はその成功が朝鮮における失敗につながりました。化外の地であった台湾と違って、朝鮮は一つの文明の国です。その朝鮮全体をまるごと奪うことは朝鮮民族の誇りをも奪うことになったからです。歴史の真実はそんな二つの場合の相違を見分ける眼識にあるのではないでしょうか。170p

※いわれのない非難にたいしては外国語でも上手に反論できる、西洋一辺倒や中国一辺倒でない日本人エリートを養成したく思います。……日本を知り、外国を知り、外国人に対して位負けせず自己主張のできる人を育て、日本語の正論を外国語にも訳し、諸外国の人をも納得させるようにしてもらいたいと思います。178p

※日本に必要なのは国内国外双方の人たちといろいろ議論して自分の位置を三点測量した上で、物事をきちんと見定めることのできる人だと思います。……近現代の歴史解釈についても修正すべきところはきちんと理由を明示して修正しなければならない。西洋本位がすべてではない以上、その価値基準に盲目的に従ってはならないのです。202-203p

※鈍行列車に乗った人が途中でその新幹線に乗り換える、あるいはその逆に新幹線から各駅停車のローカル線に乗り換える可能性は確保しなければなりません。なぜ乗り換えが必要か。……人生行路の半ばのステーションで急行のキャリアに乗った人も普通に乗った人も一旦車を降りる。そしてその駅で試験を受け直して、その結果で乗り換えできるようにする。そんな工夫があっていいかと思います。211p

※人生の通過儀礼でもある入試に口述試験があれば、若者はおのずと自己表現の訓練をするようになる。227p

※日本人はなぜ海外でおどおどするか。それは外国語が下手だからだけではないのです。日本人である自分の歴史や文化に自信がもてないからです。231p

※今日の日本人はグローバル化する地球社会の一員として、一面では英語をはじめとする外国語の力を身につけねばなりません。しかし他面では日本人としての教養を身につけないと、国際社会で日本人として自信をもって振る舞うことはできません。231-232p

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