2022年6月6日月曜日

講演会に思う

 月遅れの『文藝春秋』4月号を読んでいる。先日亡くなられた石原慎太郎の絶筆「死への道程」などの特集がある。また石原慎太郎が芥川賞を受賞した『太陽の季節』の掲載もある。それは受賞当時そのままでの再掲だ。もちろん印字もそのままである。興味深いのは受賞した『太陽の季節』の再掲と同じくらい、当時の状況がうかがえる「昭和三十一年度文化講演會開催について」がある。頁の下部には小見出しで「講演會創始の頃」として当初の講演会の様子がよくわかる。

 それによると文化講演会は大正十二年に旗揚げしたらしく講演者の一覧がすごすぎる。3組に分けて19名の文化人の名がある。そのうち数人は初めて聞く名前だが他の人は有名な作家たちである。

 文化講演会と言って思い出す。若い頃は著名人の講演会、それも無料で開催される講演会をよく聞きに行った。その中に文藝春秋の講演会があったかもしれない。無料であっても著名な作家たちの講演であり、聞きに行くのが好きだった。五木寛之、瀬戸内晴美など何度も聞きに行った。初めて聞いた著名人はたぶん20代前半の頃に出かけた五味康祐氏の講演だったと思う。出版関係でない講演会としては人に誘われて某金庫メーカー主催の講演会にもよく出かけた。この主催の講演会は一流ホテルでの講演の後、講演者も含めた立食パーティがあり、それは豪華そのものだった。これも無料である。もしかしたらバブル全盛期の頃だったかもしれない。その時は留学生の支援が目的の講演会だった。

 当時の留学生は国を背負ってきている人たちである。その点で言えば今の留学生とは少し趣が違うかもしれない。その時の講演者として一番に思い出すのは森本哲郎氏である。写真を一緒に撮っていただき本にサインをしてもらった。その頃の講演者は作家というよりも思想家というか外国通の専門家の先生方が多かった。

 いまどきの講演会は世知辛い世の中になったのか、無料の講演会が少なくなった。時によってはネットでの開催であっても費用がかかる。

 今思い出した。最近は先の某大手金庫メーカー主催の講演会が年に1度ある。これは以前の講演会とは趣が異なりコロナ禍での開催は中止となっている。が、養老孟司氏や清水寺などの管長の講演などがあった。

 ほかにも思い出す。それは万博公園内にある民博の講演会である。アジアに目覚めたころ、民博の友の会会員になっていた。その主催の記念事業で泊りがけで大阪の講演会に出席。当時、すでに眼はご不自由になられていたけれどもお元気だった梅棹忠夫氏の講演を聞いたこともあった。フットワーク宜しくあちこちとよく出かけたものである。

 近年では美術館内での講演会を思い出す。池内紀氏の講演会に2度ほど出かけた。市内の某美術館の開催だ。この方にもサインをいただいている。

 今日は小雨が降ってパッとしないお天気だ。ひろしま美術館で「風景画のはじまり コローから印象派へ」が開催中。期間中に絵を見に行こうと思っている。さてさてそれはいつ!?

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

0 件のコメント:

コメントを投稿