2012年11月18日日曜日

コンポジット(compsite)

昨日からの雨もあがり、気持いい朝を迎える。今日は母の月命日。母がいなくなって1年9ヶ月。月日の経つのは早い。日毎に淋しさは薄らいでくるものの、しみじみともう2度とは母に会えないんだ、との思いは募る。

その思いの合間にも人と会って美味しいものを食べたり、飲んだり、しゃべったりして楽しいひと時を過ごすのもまたいいもの。

昨夜はわかちゃんと一緒に我が家で夕飯を食べる。「ボジョレ・ヌーボを飲もう」とわかちゃんを誘うと、サイダーを持参して我が家にやってきた。

ワインをサイダーで割って飲むよう娘さんからのアドバイスらしい。ほんのチョッピリのワインに大半のサイダー入り。満更でもなさそうな顔をして飲んでいる。

若い頃はアルコール類は何でもOKだったとか。最近はビールばかりのよう。

今日はこれから一人で墓参りをする。姉は後日参るとの電話がある。お参りの花は我が家の狭い庭に咲き誇る菊の花。昨年姉に植えてもらった菊である。

墓参りを済ませると、一端家に帰ってその後は泳ぎに行こう。お天気もいい。今日も元気で!

以下はいつものように図書館で借りた本、『老楽力』(外山滋比古 展望社、2012年)を読んだもの。

主人公の根本実当は著者自身である。自伝的小説として筆者と主人公を混合してコンポジット(compsite)仕立てに書いている。

いつものように気になる部分を拾い集めよう!

ここ数年、著者である外山氏のエッセイをよく読む。人生のよき先達として読むのかもしれない。

氏は年をとると人間が劣化することが少なくない、と述べる。そのために人々は宗教に入ったりする。だがそれよりも「新しい徳をつむ」ことを考えたとき、「浜までは海女も蓑着る時雨かな」に出会う(26p)。

海女は雨に降られなくても海に入れば濡れる。それなのにたとえ近くの浜までであっても濡れないように蓑を着ていく。筆者はこの句から自身の生き方を考える。

「死ぬまでは、たとえわずかでも、前へ進めるだけは進もう。恥ずかしくないように、できれば、これまでより、いくらかでもましな人間になりたい。そうして、幸福な人生のまっただ中で生を終えたい。死はさけられないが、そこへ至るまではせいぜい生き生きと、美しく、明るく生きて生きたい。」(26p)。

根本は伊能忠敬の例を挙げて晩学に勇気を与える先人とする。(44p)

また、フライドチキンの創始者サンダースも「ただひたすら前進することで年を忘れる。・・・ガムシャラに突っ走るのは老人のすることではないが、構わず、走りまわって、大業を成就させた」(50p)。

他にも「随所に主となれ」といった、600年前の、大燈国師の言葉を引用する。「どこにいても、どのような立場にあっても、主体性を失わない。いかなる場合にも、他によって自己を乱されることなく、自分を見失うこともなく、自由である、そうあれ、というほどの意味である」と述べている。(62p)

その影響を受け、根本は「主となる」実践をする。それは「とにかく人にご馳走をするのである。時と場合、相手などかまっていられない。相手かまわず、おりあればホーストになって招待する」(66p)。

卒業生の一人は「昔の先生よりいまの先生のほうが若々しい」とゴマをする。それを聞いてそんな気がしてきて元気がわく。「主」となった味は大したものだと納得する。(68p)

「元気は自分の力で出すものだ。」と述べ、元気は「生き生きと働き、仕事をし、なにごとにも力いっぱいで励むーそういう生活の中から元気が出てくる」という。そして「じっとなにもしないでいては元気は出ない。とにかく活発に動くことである。規則正しい生活も元気のもとになる」。そのうえで「ただ動きまわるのではなく、目標をもって、そこへ向かって進んでいく。夢をもって、その達成に我を忘れて夢中になっていると、おのずから活力がわいてくる」(154-155p)。

「傷ついていれば、いたわり、よいところがあれば素直にたたえてくれる。それが老いてのぞましい友である。」として、根本は「自から、ほめる新しい友になるを心掛けた。ほめられて怒る人はない。ほめたことがきっかけで親しくなるということがおこる。・・・ほめられると、確実に、元気が出る。ピグマリオン効果ということがある。・・・ほめられると、人は元気を出す。ほめてくれる人がまわりにいるのは、老人とって、何より幸福である。」(158-160p)

「医学的には異論もあろうが、かよわい心をもった人間にとって、おそろしい情報、医師のことばはしばしば有毒有害なものになるということがある。年をとったら、この有害なストレスをなるべく近づけないようにしないといけない。」(176p)。

そうだ。だから病院には近づくなというのだろう。

「六十にして、新しいことを始めるのは、たいへん難しい。かりにしてみても、うまくいかないだろう。それを承知で、あえて手習いを始めるのは、老人の壮志である。そして、それによってその人は生々、若々しくなる。」「初心を養えば、老いて老いることはないーそれは根本の信念である。」として「とにかく、新しいことを始める」ことを述べる。(186-188p)

まだまだやりたいことが待っている。新しいことが・・・。

「老人はうちに引きこもってはいけない。とにかく外の空気を吸うのが心身のためによい。」としてホテルの利用をすすめる。試験的にホテルの長期滞在を試みる。心も軽くなり、年も忘れるのではないかと期待して・・・。(211-212p)

そう。年を忘れて遊ぼう。大いに外へ出て・・・。

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