図書館で予約していた本が次々予約確保されるようになった。本と言えばほぼ司馬作品ばかりを読んでいた。が、ここに来てやっとジャンルが違う本を読む。昨日は丹羽宇一郎の『人間の器』(幻冬舎、2021年第2刷)を一気に読んだ。以下に取り上げた箇所はいずれも自分にとっては妙に納得してしまう。
なかでも「自分の身に起きたことは、すべてその時点でのベストだと思うようにする」の件は後で気に病むことがあるのでこの考えは大事と思った。また「生きている限り、常に問題があるのが当たり前であって、問題があるからこそ人生なのです」の件も改めてそう感じる。そして、何といっても「人は何かをなそうと必死の努力をしているとき、しかるべき人と偶然に出会ったりして道が拓けるということがあります」は心からそう感じている。これまでを振り返って、例えば人生の岐路にぶつかったときに、「しかるべき人と偶然に出会ったりして道が拓ける」ことがあった。これは実感として納得する。「懸命に道を探っているときは、アンテナがピンと立っています」と。これは「必然の運」らしい。
これまでを振り返って「必然の運」と思ったヒト、モノ、コトを列挙すれば自分史になりそうだ。人生の岐路で出会った人たちの恩は決して忘れてはいけない。強くそう感じた。
ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!
以下は『人間の器』から気になる箇所を抜粋した。
★自分の身に起きたことは、すべてその時点でのベストだと思うようにする。ここでいうベストというのは、さまざまな可能性がある中での最善の状態という意味ではありません。どのような形のものであれ、自分の考えや行動に基づいた結果、起こったことに変わりはありません。すなわち、やってきた状況は、その時点ではそれしかなかったという意味でのベストということです。(25-26p)
★人は知らないことがあるから、好奇心でもって、その未知なるものを求めるわけです。それが理性を発達させ、文明を進歩させてきました。……まずは「自分は何も知らない」ということを自覚する。そのことが、人間が成長していく上で、もっとも大切なことです。(30-31p)
★私自身は、終活らしきことは何もやっていません。……もし終活に時間を割くくらいなら、好きな本をもっと読むことを選ぶでしょう。つまり、終活そのものに、さして関心がないということです。高齢になればたしかに余命は少ないわけですが、それでもいつ死ぬかなどということはまったくわかりません。神のみぞ知る、です。(120-121p)
★悪い感情は、無理に打ち消す必要はありません。無理やりなくそうとすると、自分を偽っていることになるからです。そうではなく、「自分はまだこの程度の人間なんだな」と、自分に対する認識を新たにする。そうやって自分という人間を理解していくことが、多少なりとも「人間の器」を大きくすることにつながるのではないかと私は思います。(145-146p)
★生きている限り、常に問題があるのが当たり前であって、問題があるからこそ人生なのです。……トラブルは天が自分に与えてくれたものであり、自分を磨いてくれるものとしてとらえることが必要です。そんな視点を持てば、いかなる問題も、自らを向上させてくれる「いい勉強」になります。……逆境という壁に出くわしたときは、自分の器を大きくする練習をさせてもらっていると思うことです。(154-156p)
★知識や教養といったものは、人間の器をつくるのに欠かせないものです。知識をもたらし、教養を育んでくれる一番のものは、なんといっても読書です。いろんな本を読めば、自分にとって未知の世界が山ほどあることに気づきます。そして、もっと知りたい、見たい、経験したいという好奇心や探求心を刺激してくれます。……私は本を読んでいて心に刻まれたことや気になったことは、必ず読書ノートにメモを取るようにしています。若い頃からずっとやり続けている習慣で、ここは大事だなとか、これは覚えておこうと思う箇所に付箋を貼り、週末にそれらをノートにまとめるのです。(163-164p)
★人は何かをなそうと必死の努力をしているとき、しかるべき人と偶然に出会ったりして道が拓けるということがあります。……懸命に道を探っているときは、アンテナがピンと立っています。強く何かを求めているときは、それに少しでも関連するものが視界に飛び込んでくると、ビビッとアンテナが反応するのです。ぼんやりしていれば見逃してしまうようなものに、直感的に目が行くものです。傍から見れば、それは不思議な偶然の縁があって道が拓けたというふうにも映るかもしれません。でも、それは実はきわめて必然の道筋といえるものです。運というものには、このように必然的に導かれるものもあれば、文字通り「たまたま」のものもある。……「必然の運」は、自分の努力や工夫によってもたらされるものといえるでしょう。必然の運は、運ということばでくくってよいのかわかりませんが、そのような努力ができること自体も、ある環境や条件のもとでこそ可能だったわけですから、やはり一つの運といっていいと思います。(169-171p)
★「もう歳だから、運が舞い込むなんて期待できないよ……」なんていっている人には、当然訪れるはずもないのですが、いくつになっても好奇心を持ってアンテナを張っている人には、次々と面白そうな運や縁が舞い込んできます。これからの人生においては”今”が一番若いのですから、「歳だから……」という暇があれば、アンテナを張って行動を起こしてみましょう。(171p)
★中村さんの凄いところは、旱魃や内戦、空爆で明日生きられるかわからないアフガニスタンで、誰に頼まれたわけでもなく、自発的に画期的な事業を成し遂げ、それが同時に命をかけた平和外交活動にもなっていたということです。これは、人間としてのスケールの大きさが桁違いだというほかないでしょう。私は、そこに限界を持たない「人間の器」を見る思いがするのです。(180p)+
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