2020年5月3日日曜日

『ナナメの夕暮れ』

 お笑いのオードリー若林の『ナナメの夕暮れ』(若林正恭 文藝春秋、2019年)を読んだ。図書館で借りた本だが、予約本を確保するまで1年以上かかる。若林は一昨日と昨日、続けてテレビに出ていた。その話の中で父親と最後にかわす場面がある。本のタイトルにもなっている「ナナメ」についてその時、語っていた。父親が死の病で最後に食べたいものはアイスクリームだったそうだ。体が不自由になっていたころ、見舞った病室で一緒にテレビを見ていると偶然にもオードリーの相方が出ていたと話す。

 若林は今の時代、アイスクリームはコンビニですぐに手に入る。また日本も発達して病に伏していてもテレビを見ることができる。そう思ったとき、モノ・コト・ヒトなど「ナナメ」に見る癖をやめてもっと人生を楽しもう、と思えるようになったという。今の著者はこの本を書いたころとは違って斜に構えず、まっすぐに前を見ているに違いない。

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

 以下は本の抜粋。

★”好きなことがある”ということは、それだけで朝起きる理由になる。
”好き”という感情は”肯定”だ。
つまり、好きなことがあるということは”世界を肯定している”ことになる。
そして、それは”世界が好き”ということになるという三段論法が成立する。153p

★近頃、ぼくは家でゲームをやらなくなった。
昨日より今日の方が感覚的に若くなるということが、実際にあるんだなと驚いた。
それは、何歳になっても”昨日より伸びしろが広がることがある”という新発見だった。
これが掴めたなら、過剰な自意識を連れ去ってくれる体力の減退も悪くない。
自意識過剰な人間は、歳を重ねると楽になって若返る。202-203p

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