2019年8月23日金曜日

『酔って候』&ネット検索

 母の愛用品を探していて、目的物でないニコンの双眼鏡が目に入る。双眼鏡は欲しくて買ったものではない。8年余り前、長く使用していなかったコンタクトレンズを使い始めた。その日は4月の土曜日。一度、市内に出て用事を済ませて夕方帰宅。コンタクトを外そうとしたら外せない。ネットで検索していろいろと外し方を試す。だが埒が明かない。いつもの眼科に電話するが土曜日なので午前中の診察終了。困った、と思ったとき気づいたのが、眼鏡店。家の近くにはお店が思い浮かばない。市内の本通りにある老舗眼鏡店に電話すると夜8時までOKとのこと。またも市内に出かける。はやる気持ちを抑えてお店に到着。すぐに事情を話すと係はスポイトでコンタクトを取ってくれた。料金を問うといらないとのこと。これでは気が済まない。どういってもこの時は取ってくれた人が神様に思えた。その場でスポイト購入。

 だがこれだけでは申し訳ないし、タダではその場を離れられない。ふと浮かんだのが双眼鏡。1万円くらいのものを買ってお礼に代えようと決める。それが昨日のニコンの双眼鏡。ずっと使わずに収めていた。昨日、再度、目にして本体を触ってみるとベタベタして触れたものではない。ここでネット検索、となる。湿気が何かの作用でベタベタ感を出すようだ。ネットによると以下のように書いてある。

★プラスチックやゴムのベタベタは湿気が原因!簡単な対処法を5つ紹介
 プラスチックとゴムのベタベタの原因は水!夏場は特にベタベタに…!
https://yourmystar.jp/relivers/plastics-rubber-sticky/(sanshou (参照)

 早速、試してみる。5つの対処法のうちの1つで試す。ハンドクリームを塗ってベタベタ感を取った。今一歩、完全にはぬぐえていないので再度試そう!それにしてもネット検索は素晴らしい。

 以下は先日読んだ『酔って候』(司馬遼太郎 文藝春秋、2012年第16刷)の気になる箇所の抜粋から。

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

★――土州の御隠居は、共に語るに足る。痛快淋漓たる豪傑におわす。という評判がぱっと立った。長州の過激志士なども、しきりと拝謁を申し出た。容堂は気軽にゆるし、顔をみると早々に、「面をあげい。これへ、近こうに。まず、この大杯で飲め。議論はそれからじゃ」といって杯をさげわたした。飲むとさらに注がせ、「酔わぬ者は予がために悪客であるぞ」と言い、みずから号して、「鯨海酔候」と名乗った。土佐ノ海は鯨が泳いでいる。だから鯨海。つねにその鯨が酔っている、ゆえに酔候――という意味である。諸般の志士はますます、――土州侯は話せる。として喜んだ。酔えば詩を作り、その署名をときに、「酔擁美人楼主人」とした。酔って美人を擁する家の主人、という意味である。76p

★容堂は大いに歓待し、大いに国事を論じた。勝は攘夷主義者ではない。開国主義に立った富国強兵論者である。容堂は大いに共鳴した。……(名論卓説ならなんでもいい)という教養主義である。攘夷論もよく開国論もよく、その背景にかがやくような教養さえあれば、詩人容堂にとって「語るに足る友」である。要するに、議論は酒のサカナでさえあればよい。89-90p

★容堂は藩邸の庭に集結している藩兵に酒をあたえ、「天なお寒し、自愛せよ」という言葉を。そえた。風邪をひくな、という意味である。将士は、退助に率いられ、勇躍、出発した。そのあと、数日、容堂は日に一升の酒を飲み、詩もつくらなかった。
なんのためにおれは存在したのか)疑問だったに違いない。容堂は暴虎のごとく
幕末の時勢の中で荒れまわったが、それは佐幕にも役だたず、倒幕にも役だたなかった。……この酒徒の生涯は、明治五年、四十六歳でおわっている。多年の飲酒による脳溢血だった。144-145p

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