2018年12月17日月曜日

NHKスペシャル「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり」を見る

 1巻が450頁もある『坂の上の雲』を読んでいる。今はまだ1巻目の170頁あたりを読む。今のところ秋山兄弟と正岡子規がメインの登場人物で日露戦争のころの小説だ。この本は8巻あるらしく、暇を持て余すお正月前後に読むにはちょうどいい。その前に、年賀状作成が待っている。他にも大連の旅の模様をブログにアップしたい気持ちもある。そして究極は県北の美術館で明日から開催される堀文子展に行かねばならない。

 堀文子展は高速バス代金に美術館チケットがセットになったバス会社が売り出す割安の切符があるらしい。ネットで調べると広島バスセンターで発売されている。この2,3日、寒い日が続く。明後日ごろからは気温も15度前後に上がり暖かくなるようだ。その頃を見計らって県北の美術館へ行こう!

 話は変わって昨夜は何といってもNHKスペシャル「アウラ 未知のイゾラド 最後のひとり」がある。番組放送前の夕方の番組で関わりある番組を放送していた。これはほとんど見ておらず、残念。番組HPによると番組スタッフの紹介として次のように書いている。長いけど引用しよう。

★――ある民族の最後のひとりになる。しかも、他の民族には自分の言葉は一切通じない。我が身に置き換えれば、最後の日本人となってしまい、他の(民族の)人とはコミュニケーションがまるで取れない、という状態です。そんな境遇で生きることを想像できるでしょうか。この番組は、<“たったひとり”で、自分以外はみな未知>という過酷な環境で生きる、いや、生きねばならなかった「イゾラド」の30年の記録です。
イゾラドとは文明社会と接触したことのないアマゾンの先住民をいいます。アウラが忽然と現れた1987年以降、イゾラドの出現は数回確認されていますが、言語が全く未知のイゾラドはアウラ(話す言葉の語感からブラジル政府がそう命名した)だけで、政府は彼を「絶滅した未知の部族の最後の生き残りである」と結論づけています。
こちら側の世界に出てきてしまってからも、アウラの苦難は続きました。アウラの意思とは関係なく、政府は彼を「隔離」「保護」することにしたからです。施設に収容すれば脱走を繰り返し、他の部族と同居させれば些細な諍いから殺傷事件を起こしてしまう……まさに、「文明」と馴染むことを拒絶して生きてきた30年でした。
ですが、たった一人だけ、アウラが心を許す「文明」側の人間がいました。言語学者のノルバウです。ノルバウはアウラの小屋に同居し(そんなことをする者は彼だけでした)、近くにあるモノを一つ一つ指さしながら、アウラが喋る単語を集めていきました。30年でその数、800余り。他の仲間はどうしてしまったのか。部族に何が起きたのか。今ようやく、未知の民族にまつわる、おぼろげな輪郭が浮かび上がってきたのです。
番組のナレーションは芥川賞作家でミュージシャンの町田康さんが引き受けてくれました。最初の試写をしたとき、町田さんがこう言いました。「暴力的なまでに思考することを強要する番組である」、と。大変嬉しい一言でしたが、町田さんの言葉の通り、親切な番組ではありません。想像しながら見ていかないと、ついていけないかもしれません。かくいう私も、アウラの心中はよく分かりません。ですが、アウラの絶望的な孤独を少しでも理解したかったのです。「分からないこと」に微かな接線を引くことだけを考え、この番組を作りました。
 
 さらに番組内容として以下のように書いてある。

★30年前、アマゾンの深い森からこつ然と現れた素っ裸の2人の男。ブラジル政府はアウレとアウラと名付け保護した。だが2人の言葉は「未知」の言語で、誰一人理解できなかった。ある言語学者が周りのものを一つ一つ指しながら30年かけて800の単語の意味を探り当てた。やがてアウレが死亡。最後の一人となったアウラの調査を続ける中で、彼が、自分たちの部族に起きた「死」について語っていることが、明らかになっていく…。

 私たちが住む地球にはまだ解明されていないヒトがいるとは、放送を見てびっくり。遠い祖先はアウラのような生活だったのだろうか。文明社会に取り残された、というかヒト本来の生き方を守り続けてきた部族。発見された2人のうち1人が病気になって病院に搬送される場面がある。車内で彼らが目にした文明社会はどんな風に映ったのだろう。それさえも言語が解読されず、今もってわからないことだらけらしい。

 1人残ったアウラはいつか亡くなる日が来る。それもすべては映像におさめて放送されるだろう。アウラがいつも呟いていたと思われる「死」という言葉。部族のあの人もこの人も皆、「死んだ」と言っている。この世にあってもまだ解明されない言語があるとは……、番組を見て知る。言語学者はアウラと接触しても文化人類学者はこの部族との接触がないのはなぜだろう。これは不思議!見ていて不思議な気持ちを味合わされた番組だった。

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

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