いつもの如く図書館で借りた『観光人類学の挑戦「新しい地球の生き方」』(山下晋司 講談社、2009年)を読んだ。このなかの第二章「越境する日本人女性ー女たちのグローバル化」は当てはまるところがある。
中でも「国境を越える女性たち」の海外旅行については、かつてのような男性上位の領分ではないらしい(28p)。
男性の場合の40代が男性全体の22.8%。女性は20代が女性全体の23%を占め、30代の20.8%とあわせると女性旅行客の44%が2,30代の年齢階層に集中。しかし近年晩婚化・未婚化が原因で若い女性が旅行する比率は減少している。逆に50代以上の女性の占める比率は33.3%と上昇している。(28p)
更に2004年の”韓流”ブームで日本女性の越境範囲が拡大したという。(29-30p)
この点について著者は「男性優位のワーカホリックな職場社会で周縁化され、もしくは自らそうした場から『おりた』、主にノンキャリアの女性によって拡大を広げた」という(30p)。
「女性は転職にせよ(趣縁)にせよ、主に自力・自腹で越境する。より魅力的な場所を求めてその都度多方面を行き来したり、滞在したりする傾向はこの先『ライフスタイル移民』というかたちで境界線(国境)にとらわれない女性の移動を促す可能性がある」。女の旅は『自己都合』ー」(30p)として、著者はこの点が興味深いとする。
海外旅行をする女性を「ノンキャリアの女性によって拡大を広げた」は当てはまる。自力・自腹で旅をした。それは日本の会社を辞めて語学留学に来ている女性、すなわち「OL留学」と呼ばれる現象にもあるという(31p)
その底辺には日本女性の越境の文化景観を描いている。それは今日のグローバル化の意味を解く重要な鍵となるという(31p)。
例えばバリ島観光を繰り返すうち日本人女性がバリ島の人と結婚する。そこには現代の日本が失った「なつかしい」世界があるらしい。(34p)
そのことを著者は「彼女たちは日本からの『逃亡者』なのかもしれない」という(35p)。日本社会に愛想をつかし、事実上逃げ出してきた人たち。その1割の人々は日本を降りた「社会難民」として位置づけている。(36p)
それはカリフォルニアのOL留学にも当てはまるという。彼女たちは決してエリート留学ではない。脱OLを含め、日本からのドロップアウト組が多いという(37p)。
そしてそういう女性たちはアメリカ人と結婚するケースもある。海外旅行、海外留学から国際結婚にいたる若い日本人女性の「性の国際化」の現象に著者は注目する。(40p)
国際結婚は「弱者の輪」とか。女性は国際結婚をするといってもハイパーガミー(上昇婚)で、より高い地位の男性と結婚するらしい。(41p)
だからバリの日本人妻たちの多くは、移住後、日本国籍を捨て、インドネシア国籍を取得する意思を持たない。(43p)「本当の自分」を求めて旅する旅行者だという。
これは近代国家の目的であった均質的な国民国家空間の創出という物語を脱構築していくもう一つの物語となる。これこそが女たちのグローバル化の重要な意味を持ってくると著者はいう。(48p)
これを読むと日本女性の海外旅行の要因に”韓流”があったとは・・・。
”韓流”といえば韓国。その韓国のKONが昨日読んだ人のブログに登場している。初めて聞く名前。ソウル大学を卒業した天才ヴァイオリニスト。TVの「赤い糸の女」の主題歌を演奏しているという。
”韓流”も韓国も全く関心がない。それでも情報を知ったからにはTVを見る!?
それにしても読んだ本に書いてある「女の旅は『自己都合』」とは。またノンキャリアの女性によって海外旅行が拡大していったとは・・・。女性の誰でもが自らの意思で海外旅行に出かける時代になったということだろう。
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