2021年9月21日火曜日

『新史太閤記』(下)「解説」から

  『新史太閤記』(上)を読み終え、その下巻を図書館で借りて読み始める。司馬作品の本の巻末には著者である司馬遼太郎の「あとがき」や他者による「解説」がある。下巻を読む前に解説を読むと富士正晴は興味深いことを書いていた。それは「司馬のあの発言で、司馬のやり口の基本が判ったと思うと同時に、おれは司馬の小説を読んで来て随分得をしたなということも感じた。司馬にいつの間にやら日本史を教育されたような気もする」(527p)である。「司馬のあの発言……」とは山崎正和対談集『沈黙を誰が聞く』の中で司馬遼太郎が言った言葉である。以下、その言葉から。

 「私の小説というのは、初めから、外国人に読ませようと思って書いたんですから。『外国人』というのはつまり特定の外国人じゃなくて、日本人であってもいいのですけど外国人的な、つまり日本歴史について何の知識もない人に、それが読者なんだと思うところから出発しますから、『義経は』といったらすぐ打てば響くような読者を想定して書いた作品はないと思うのです。……」(527p)。

 この富士の解説を読んで「司馬の小説を読んで来て随分得をした」、「いつの間にやら日本史を教育された」の2か所は「そうそう、そういうこと」と妙に感心してしまった。それゆえ、司馬作品にますますのめり込むのかもしれない。どういっても運動、絵画、歴史は小さいころから自分の三大嫌いだった。それが司馬作品にハマって歴史小説を読み、歴史好きになるとは何とも不思議!?

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

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