『近藤勝重流 老いの抜け道』(近藤勝重 幻冬舎、2020年)を読んだ。川柳を得意とする著者はあらゆるところに川柳をちりばめて書いている。川柳は著者自身でなく、寄せられたものや著名人、そして本などの引用が多い。本を書いた目的を「要は人生、心ひとつにかかっている――本書はそんな思いで書き下ろした一冊です。……老いの抜け道の心の杖としてお役立てください」(はじめに)とある。以下はいつものように気になる箇所をメモした。
★目下、70代前半ですが、そういうこともわかってきて、老いてきたからといって、心をむなしくして人生を生きてどうする、人生はこれからだという思いが一層強くなっています。(29p)
★よく思うのです。毎日の散歩道で足を止めて見入る木が一本あることのありがたさを、四季折々に風趣に富む木だとなおさら感じ入り、来し方行く末への思いまでも深めさせてくれます。ぼくにとってそんな木は欅(けやき)です。胃がんで入院中の病室に持ち込んだ文庫本の中の一冊、藤沢周平さんのエッセイ集『小説の周辺』に出てくる欅に心が動いたんですね。
「小学校の敷地をはなれると広い芝生のある道に出て、芝生のむこうに大きな農家と見事なケヤキの大木が見えて来る。冬の木々は、すべての虚飾をはぎ取られて本来の思想だけで立っているというおもむきがある。もうちょっと歳取るとああなる、覚悟はいいかと思いながら、道をまた右に曲がって(以下、略)(140-141p)
★(「ささやかな幸福感を覚えるひととき」から)(74-75p)
ナイターとビールがあれば生きられる 桜田宏
この「ナイターとビール……」の句はまさに広島県民大多数に当てはまりそうだ。とはいっても今年はいかがなものか、怪しい。とはいいながらも少しはこの気持ちに近いものは県民誰もが持っている。この本を読んで藤沢周平の本を読みたくなった。図書館の検索で藤沢周平を検索すると半端ない作品がある。司馬作品を読み終えることがライフワークとなった今は、あれもこれも読むのは大変。頭の隅に「藤沢周平の本を読む」ととりあえずインプットしよう。
ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!
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