2018年1月6日土曜日

『知的巨人たちの晩年』

 昨年末に旅仲間から1通のメールを受け取る。それは本の話。いただいたメールの端々から興奮気味にその本について書いてある。届いた日は図書館も開館日。ネットで本を検索すると広島駅近郊の図書館に紹介された本がある。しばし考えた挙句、そこまで借りに行くのは諦めて予約する。昨日、その本が地元の図書館に届く。すぐさま図書館へ出向いて本を借りた。

 教えてもらった本はネットで著者を検索するとご本人のブログがある。これを見ていたので大凡どんな人かはわかる。それでも人が推しの本だ。図書館で入手するや否やあとがきの方から読み始める。サブタイトルが「我が魂の遍歴」とあって、並の人生ではない。まあ、平凡であれば本にもならないが。

 旅仲間の人もいろいろと活動されている。そのうちの一つがテレビで取り上げられたという。それを見て本の著者が入会される。そこで知り合われて「本」を教えてもらったそうだ。何がきっかけで人と知り合うかわからない。ともあれ、教えてもらった本を一気に読む。年齢的にはだいぶ上の人だけど本を通して知る限り、その人の行動力には驚かされる。そして刺激を受ける。

 刺激といえば年末年始、暇を持て余して読んだ本にもある。以下はそのうちの1冊。またいつものように気になる個所をアップしよう。『知的巨人たちの晩年』、サブタイトルは「生き方を学ぶ」(稲永和豊 講談社、1997年)。

★歴史を振り返ってみると、旅を愛し、よく歩いた人物ほど、長寿を全うし、しかも実り豊かな晩年を送っているという事実に、あらためて気づかされる。江戸時代だけをとってみても、益軒にかぎらず、…伊能忠敬、また水戸黄門の名で親しまれている徳川光圀など、その例に事欠かない。44p

★人生五十にいたらざれば、血気いまだ定まらず。知恵いまだ開けず、古今にうとくして、世変になれず。言あやまり多く、行い悔多し。人生の理も楽しみもいまだ知らず。五十にいたらずして死するを夭(わかじに)と云。是亦、不幸短命と云えし。長生すれば、楽多く、益多し。日々にいまだ知らざる事をしり、月々にいまだ能くせざる事をよくす。この故に学問の長進する事も、知識の明達なる事も、長生きせざれば得がたし。55p

★現代の医療のあり方についても、ただとにかく寿命を延ばせばいいというのではなく、こころの底から充足して長生きできることを理想とするような方向に、発想を転換していく必要がないだろうか。大事なことは、いかに死ぬかではなく、残された人生をいかに生きるか、この一点につきる。どうか思う存分にやりたいことをやり、心ゆくまで日々の生活を楽しみ、悔いのない人生の完結を目指していただいきたいものである。255p

★ハーディ・パーソナリティーの3C.
第一のCは「コントロール(Contorol)」である。早くいえばセルフ・コントロール、自己管理のことである。他人の意見や世相にふりまわされるのではなく、自分の行動や自分の将来、環境などを、あくまで自分自身の自由意思によって左右していく。それができるという信念を持つことが大事である。

第二のCは「コミットメント(Commitment)」。自分たちの生活において関係のある事件や活動や人々に対して関心を寄せたり、熱心に関わったりすること」である。

第三のCは「チャレンジ(Challenge)」。保身に甘んずるのではなく、新しい状況や変化に立ち向かっていこうという姿勢である。チャレンジ精神のある人は、「なにか真に価値あるチャレンジをするときがきたら、あなたの経済的な安全を犠牲にすることができますか?」という問いにも、イエスと答える傾向があるという。

この三つのCを備えたハーディー・パーソナリティの人たちは、ストレスを受けた場合にも、よく健康を維持することができるとされる。その理由は、ストレスの原因に積極的に対処できるので、動揺することがあまりなく、それゆえストレスが病気に結びつく可能性が少なくなるからだというのである。262ー263p

★この書物に登場する人物から晩年を生きるヒントを与えられたことは、真実、私にとっては幸いであった。読者の方々にも、勇気と活力を与える人物を見出していただくことを、心から期待している。(あとがき) 

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