2023年8月23日水曜日

「台湾紀行」

  司馬遼太郎の『街道をゆく』「台湾紀行」を読んでいる。「台湾紀行」をなぜ今、読んでいるのか、なぜもっと早く読まなかったのかと思いながら読んでいる。中国へは11,2回出かけているが台湾は2回ほどしか行っていない。ただ、東南アジアへ行く際のトランジットとしては何度かある。

 台湾へ初めて出かけたのは9年半前で中国と比べると最近のことになる。台湾と韓国へは日本から近い国、ということでいつでも行かれるとの思いがあった。ところが10年余り前に知り合った友だちから某会に誘われ、その会から台湾への旅に出かけた。それから後、4年前にも一人でツアーに参加した。

 その台湾が中国の脅威にさらされている!?司馬遼太郎の「台湾紀行」に以下のことが記されている。

★嘉義の小さなホテルの食堂で、台湾史の一端を考えつつ、この国の行くすえを思った。ゆくすえが、めでたくないはずがない。この小さな島で、おおぜいのひとびとが懸命に働いていて世界有数の富を築いているというのに、良からぬことがあっては、良からぬ因(もと)をつくるほうに天罰がくだるにちがいない。太陽が桃の花の蕾をひらかせるように、ごく自然に、台湾における”空想”の部分が消え、現実の島と住民に根ざした国が、生物学的なおだやかかさで再誕生する時代が来るのに相違ない。その再誕生にあたっては、海外のいかなる勢力も容喙(ようかい)しない、というのが自然というもののめでたさである。清朝は、政治の力で”古代”を人工的に再生産してアジアに停滞をもたらした王朝である。清史はおもしろいが、現代の幸福のためには、あまり役立たない。今からの台湾は、アジア的な先例にこだわらずに、住民がつくってゆくにちがいないのである。(『街道をゆく』「台湾紀行」朝日新聞社、1999年第15刷、345-346p)

 この辺のくだりは司馬遼太郎が今から30年前に台湾へ出かけたころのことだが、当時から台湾の行く末を案じている。自分自身、初めて台湾へ出かけた際、広島に住む台湾の人もツアーに参加した。広島空港に着いた際、その人から問われたことがある。それは「台湾と中国は同じ国ですか」、と。「NO」、と返答すると「安心した」 と話された。その時はあまり両国の関係を気にも留めていなかった。しかし、最近の中国の情勢をみていると訝る面も多い。

 「台湾紀行」には、多くの引用や参考文献が記されている。小説なのでその一覧の記載はないが本文に記されている情報量は半端なく多い。これらの文献を全部読めば、相当賢くなる!?

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

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