2021年10月8日金曜日

『騙されない老後』

 秋、で思いつくことばには「実りの秋」もある。一年で一番過ごしやすい季節のはずが今年はいまだに秋、とは程遠く夏のような暑さが続く。そんな日々に読んだ『騙されない老後』、サブタイトルは「権力に迎合しない不良老人のすすめ」(池田清彦 扶桑社、2021年)。またいつものように気になる箇所を記そう。

 この中の113頁にある<若い頃の勉強というのは、何かしらの目的があるからそれなりにプレッシャーもあるが、年を取ってからは純粋に「知識欲」を満たすことを楽しむことができる。それは老後の最大のメリットかもしれない。勉強といってもテストを受けたりするわけではないから、基本的にやることは読書であろう。……もちろん、一冊読んでますます興味が沸いたなら、そのジャンルの本をいろいろ読んでもっと知識を得ればいい。特にゴールがあるわけではなくても、純粋に知りたいことだけを自分勝手に追いかけるのは、このうえなく心地よいものだ。>のくだりは自分自身にも当てはまるような気がして励みになる。

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

★これから老後を迎える人や、すでに老後を生きている人にとっては、「安全」や「健康」は重要なテーマだと思われるが、真実を知り、自分で考え、真っ当な判断をしなければ、本当の安全や健康は手に入らない。……権力に従順でいるだけでは豊かな老後は過ごせない。大事なのは何が最善であるかを自分の頭で考えて、自分で決める、ということだ。(はじめに 8-9p)

★だから僕は先のことはあまり考えない。心配してもしなくても、そう遠くない未来に死ぬのは間違いないなら、うまいものを食って好きなことをして、適当に今を楽しく過ごすほうが幸せだ。そのうち体にガタがくることも避けられないだろうが、そうなったらなったで仕方がない。(69p)

★若い人に説教をするのは僕の性分ではないが、あえて言わせてもらうとしたら、「今ここ」を生きていいのは君たちではないぞということだ。「適当に今を楽しく過ごす」のは、老人だけに与えられた特権なのである。(70p)

★僕が言いたのは、あやふやな未来を「ある」と決めつけることで生き方が窮屈になってしまうなら、そこはあるがままにぼんやりと捉えたうえで、今を楽しみながら生きるほうがいいということだ。どうせ死ぬにしたって、確実に「今」はある。だからその「今」を大事に生きるほうが絶対に得なのである、(76p)

★大事なのは、「楽しく過ごし、結果的に長生きする」ことであって、「長生きという目的のために楽しく過ごす」ことではない。……老後というと、「のんびりする」のが正解だと思いがちだが、寿命を延ばしたいなら、多少なりとも「めんどくせえな」と感じることが必要だというわけだ。(79-80p)

★若い頃の勉強というのは、何かしらの目的があるからそれなりにプレッシャーもあるが、年を取ってからは純粋に「知識欲」を満たすことを楽しむことができる。それは老後の最大のメリットかもしれない。勉強といってもテストを受けたりするわけではないから、基本的にやることは読書であろう。……もちろん、一冊読んでますます興味が沸いたなら、そのジャンルの本をいろいろ読んでもっと知識を得ればいい。特にゴールがあるわけではなくても、純粋に知りたいことだけを自分勝手に追いかけるのは、このうえなく心地よいものだ。(113p)

★老人にとっていちばん大事なのは、自分の今の生活を楽しむことであり、気にくわないことにいちいち目くじらを立てることではない。人づきあいは大事でも、だからといって必死になる必要などなく、片手間にやるくらいのつもりで適当にやっていればいいのである。「これだけ」「これしか」という考え方は、実は相当にリスクが高い。(159p)

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