2021年3月7日日曜日

「中国秘境 謎の民 極限の大地に生きる、知られざる民」

 コロナ禍でNHKのBS は再放送番組が多かった。ところが昨夜は新たな内容の番組だ。それは「中国秘境 謎の民 極限の大地に生きる、知られざる民」、「天空チベット タンカ絵師の郷」として放送された。番組HPによると以下のようだ。

★チベット高原・極限の大地・ザムタンは政府指定の貧困地域。幻の宗派の転生活仏がその脱却を目指し、チベット芸術の秘伝を遊牧民出身の若者たちに伝える5年に及ぶ記録。 四川省の北西、チベット高原東端にあるザムタンは、50人以上の絵師が修行する不思議な谷。仏教芸術やチベット医学などチベット文化の精髄は、寺院・門外不出のものだった。貧窮を極めるザムタン…チベット仏教・幻の宗派の転生活仏が、失われかけた秘伝の文化を郷の若者たちに継承させ、“豊かさ”をつかむための糧にしようと伝承所を開いた…。転生活仏と若い絵師たちの5年にわたる青春群像を高原の四季の映像とともに描く。

 ザムタン、という地名は初めて聞いた。この地はチベット仏教の聖地だそうだ。チベット仏教の最高指導者としてダライ・ラマ法王がいる。ダライ・ラマ以外にもチベット仏教の高僧がいると知って驚く。チベット仏教は四大宗派であるゲルク派、サキャ派、ニンマ派、カギュ派のほかにチョナン派があるそうだ。ダライ・ラマはゲルク派のトップであり、チョナン派のトップはジャムヨンロジュ リンポチェという第47代法王である。

 リンポチェは先代の輪廻転生として生まれ変わる。今の法王が5歳の頃、そのテストがあった。何か文字を書けよ、と問うとチベット文字で「ザムタン」と書いたそうだ。このことで法王となる。だが、この地は中国の中でも貧しい地域。リンポチェは人々の生活の助けとなることを願ってタンカの伝習所を立ち上げ、150人が学んでいる。描くには「線」と「彩色」が大事。伝習所で学ぶ男女2人にスポットを当てて番組が続く。

 1人はセルチェンラモという女性で小・中学校で学ばず、家の仕事に明け暮れていた。第一期生の伝習所の募集を知って学びたい意欲がわいて応募。もう1人は暴走族の悪の男性。この2人が学んで10年後の昨年11月に上海の博覧会(?)で「仏陀伝」という大きなタンカを出品する。描いたのはセルチェンラモとヤンペルの2人がメインとなり、第一期生も加わって「仏陀伝」を描いた。この大きなタンカがセリにかけられて4500万円で落札される。メインの2人は無形文化財にも指定されて絵の注文が殺到している。他の第一期生の絵も売れてるという。

 4500万円で売れる前の開眼式でリンポチェが仏に目を入れる。この儀式では絵師の目が輝く。伝習所で学ぶには寄宿舎に入る。だが生活費は無料。そして月4000円の手当が出る。この地域の平均年収は3万円というから4000円は額も大きい。

 寄宿舎では10時間も絵を描く。学び始めは模写ばかり。ある時、元暴走族のヤンペルはリンポチェから絵に心が入っていないと戒められる。仏の表情を描くためヤンペルの修行の日々が始まる。そして心を静め読経の日々に明け暮れる。他にも学校の建設やボランティアに汗水を流した。そしてただひたすら澄んだ心を求めて……。そしてタンカを描くこと自体がよい行いと気づく。

 リンポチェは「1000年の歴史をかけて熟成された文化を受け継ぐ強い意志がなければならない」、と秘宝を特別に出して伝習生に見せる。ヤンペルは心の成熟により智慧が磨かれて絵に力が入るようになった。そして「四天王」を描いた。もう一人の女性もリンポチェからいただいた機会を大切にしたいと話す。そして見る人の救いとなってほしいと願いながら「釈迦如来」を描いて第一期生を卒業した。男性のヤンペルは絵を描きながらも内モンゴルのアニメ制作会社と協力して動画を制作。ヤンペルは「この土地が育んだ文化を発展させ故郷をすばらしいところにしたい」と話す。女性の方は絵を描きながら後輩を指導する。今やザムタンの町は新たな建物が建設されて絵師の住む町となり、以前とは趣も変化している。

 番組を見てお昼に日本画教室で学ぶ自分の姿を顧みる。絵を描く心がけは雲泥の差がある。芸大で学ぶ人は伝習所の人くらい絵を描いているのだろうか、とふと思った。10年間も絵を描くことに没頭する、ザムタンの絵師は素晴らしい!

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!
 

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