高野山金剛峰寺の襖絵は千住博が描いた。高野山へは昨年秋、初めて出かけた。金剛峯寺の襖絵は出かけたときはすでに完成しており一般公開されていた。完成した襖絵を見る前までは千住博が描いたことさえ知らず、現地の案内で知る始末。NHKの番組で一昨日の夜、その一部始終が放映された。金剛峯寺には長い間、何も描かれていない襖の間があった。この二間に44枚の襖絵を描く役を千住博が担う。日本においての制作でなく、描く場所はニューヨーク。大きな和紙に描いた「崖」と「瀧」の襖絵が完成した。
有名な場所で著名な画家による絵の制作はよくある。しかし、今回の襖絵の制作はまさに一大プロジェクトで見ていてもなんと大掛かりなことか、と驚いてしまう。絵を描くといってもまるでペンキを塗るような面もある。だが、それは絵を完成させるまでの一部分の工程で画家本人の試行錯誤は描く和紙一枚を見ても簡単なことではなさそうだった。
和紙は日本から取り寄せる。和紙の厚さや硬さがあり、和紙であればなんでもいいとは限らない。和紙をもんで自然な雰囲気を出そうとする。だが、画家はもみ具合や紙の厚さなどが納得できない。たとえ絵が完成してもその後は襖としての仕上げがいる。和紙に描かれた絵はアメリカから航空便で日本の表具師に送られる。そこで襖に表装されてやっと完成した襖が出来上がる。この作業もなみの業者では困難を極めそうだ。すべての工程は専門家の手にゆだねられて襖絵は完成。絵の構想から完成まで実に6年の歳月が流れていた。
千住博は瀧を描く際、この奥には御大師様(空海)がいらっしゃる、と話した。絵が完成して一般には公開されない部屋に通された千住博。その場で見たのはまさに「この奥にいらっしゃる御大師様」だ。「本当に御大師様がいらっしゃる!」と驚く千住博。襖絵が完成した際の一番のハイライトシーンだった。
1千年もの間、金剛峯寺の白いままの襖44枚は見事に完成した。この襖絵はこういったいきさつがあったと知って見ると、少しは違って見えるかもしれない。どうこういっても昨年秋に初めて金剛峯寺へ出かけた。高野山は一度や二度くらいでは広すぎる。次に行くときは金剛峯寺の襖絵がさらに神々しく見えることだろう。
ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!
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