★世界自然遺産・知床の海で、サケやマスをとってきた漁師の大瀬初三郎(おおせ・はつさぶろう)さん84歳。ヒグマが近づいてくると「こら!来るな!」と大声で叱りつける。すると、ヒグマは静かに去って行く。この半世紀、襲われてケガをしたことは一度もない。去年、ユネスコの委託を受けた調査団が知床を訪問。漁で使ってきた道路や橋を撤去するよう求めてきた。途方に暮れた大瀬さん。そのとき、不思議なことが起きた…。世界自然遺産・知床にあるヒグマの密集地帯。ここに野生のヒグマを叱って追い払う84歳の老漁師がいる。この現場に密着して3年。ヒグマとの共存の秘密に迫った。
番組欄の知床に目が行く。昨年7月、初めて知床に出かけた。旅のうたい文句のホエールウオッチングは夏というのに知床の海は真冬並みの寒さだった。テレビを見るとたくさんのイルカが飛び交っている。また鳥も実際に見たよりも数が半端なく多い。ヒグマも移動バスから見た。
昨夜の放送の主人公はヒグマと老漁師。この漁師さんは親父さんの愛称で呼ばれる。元は青森県の人だが、青森では食べていけないとして北海道に渡る。だが、いい漁場はすでに先住民がいる。残っていた場所がアイヌの人たちが住んでいたルシャだった。ルシャはヒグマの生息地で簡単には人が住めない。だが親父さんはヒグマと共生して生きている。ルシャにある番屋。4月から11月までをここで暮らす。番屋の周りにはヒグマが取り巻く。
4月、久々に番屋に戻りドアを開ける。この際、ヒグマが中にいるかもしれない。親父さんは腰に短刀を着けて中を確認してはいる。こうして11月まで番屋暮らしが始まる。漁を終えると番屋に集まった仲間で酒を酌み交わす。
親父さんとヒグマ。親父さんは目の前にヒグマが来ても慌てない。親父さんのヒグマに接する3条件がある。①「こらっ!」と腹の底から声を出す。②絶対、ヒグマにエサをやらない。③ヒグマに目を合わせても睨みつけない。こうすると自然にヒグマは親父さんから遠ざかる。親ヒグマにこれを学習させ、子ヒグマは親ヒグマを見て学習する。だが、決してこの真似をしてはいけないとのこと。
ユネスコの委託を受けた調査団が知床を訪問した。その時、親父さんが代表して彼らと会った。調査団の代表はアメリカの国際自然保護連合のピート・ランド博士。話している親父さんの目の前にヒグマが来る。だが、ヒグマが襲ってくるどころかヒグマは親父さんを見ると逃げていく。以下は番屋で胡坐をくんで座って話をする親父さんと博士のやりとり。
博士 「これまでクマに襲われたことは?」
親父さん 「今までにこのルシャでは(人がクマに襲われる)事件は一度もない」
親 父さんの話を聞いて博士は怪訝な顔をする。
博士 「アメリカの国立公園では人とクマが安全な距離を保てるようになっている」
どんな立派な理論より、現場で長年実践している親父さんの方が確かなようだ。
博士 「これまでクマに襲われたことは?」
親父さん 「今までにこのルシャでは(人がクマに襲われる)事件は一度もない」
親 父さんの話を聞いて博士は怪訝な顔をする。
博士 「アメリカの国立公園では人とクマが安全な距離を保てるようになっている」
どんな立派な理論より、現場で長年実践している親父さんの方が確かなようだ。
大漁であっても親父さんはヒグマにエサをやらない。ヒグマは親子で連れ歩く。親ヒグマは鮭を捕まえても飢え寸前の子ヒグマには少量しか餌を与えない。目の前で子ヒグマが死んでいく。海岸にイルカが死んでいる。親父さんはこのイルカが海に流れないように縄で岩にくくる。これをヒグマが食べるのをじっと見ている親父さん。漁獲物はヒグマにエサとしてやらない。しかし、息絶えたイルカはヒグマに食べさせようとした親父さんだった。
ヒグマは自然の中で暮らしている。人間も自然の中に暮らす動物。親父さんはそう話す。知床に来た当初は猟師に頼んでヒグマを殺していた。ところがこれはよくない、と気づき、ヒグマとともに生きるようになる。
コロナ感染で意識してこの話題から遠ざかる日々。いい番組だった。ヒグマも強いものが生き残る社会。大きなヒグマは300㎏もあるという。人間の何倍もの大きさだ。頼りになる親父さんを見ているとこちらまで元気になる。
ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!
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