2019年11月5日火曜日

『そしていま、一人になった』

 『そしていま、一人になった』(吉行和子 集英社、2019年)を読んだ。この中に我が家と同じようなことがある。

★百歳を過ぎて寝たきりになった母が、よく言ったものだ。
「あんなに弱かったあなたが、こんなに元気でいてくれるなんてね」
動けなくなった母の脳裏に、思い出の数々が湧いて来ていたのだろうか。102p

 母は100歳までは生きられず96歳になる年になくなった。まだ元気だったころの母は大人になるにつれて元気になっていく娘を見て「病み捨てた!」と言っていた。母の病気がちだった弟は自分の娘と接触させてもらえず(病気がうつるから……)、同じころ生まれた私をよく抱いていたようだ。赤ん坊である私は伯父から悪影響を及ぼされ、生まれてすぐに大病を患う。自分では覚えていない。乗り物に酔うは、運動はしないは、で大きくなった。そんな娘が年々元気になっていくのを見て親は喜んでそう言っていたのだろう。

 年齢的には十分老婆になった。旅先で知り合う人の話を聞くと病気の話が多い。姪はこれを「病気自慢」と言っていた。こういう輪に入るのは大嫌い。なぜ旅先で病気の話をするのかわからない。また、愚痴る話も嫌いだ。もっと旅を楽しめば、と思う。これも、自分自身が今、元気だからそう思うのかもしれない。

 人生プラス・マイナス、ゼロ。小さいころの体が弱かった「負」は元気で長生きする「正」になっているのかもしれない。

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

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