2018年7月16日月曜日

『九十歳美しく生きる』

 今回の豪雨災害でJRは広島へ向けて1時間に2便が運行。広島とは逆方向の上りは呉線も山陽本線も運行不能。またJRの貨物も通っていない。日常の買い物はほぼJRの線路を渡っていく。ところがJRがたった1時間に2便だけとあっては踏切がふさがった状態になることもほとんどない。何年か何十年か計画で踏切の高架事業でもめている。今は高架よりもJRの運行が先決だ。

 呉と広島間はJRもバスも運行不能だった。その時に呉市民はフェリーで広島へ通勤したそうだ。これを聞いていざとなれば初歩的なことが一番幅を利かすと感激する。2,3日前からやっとバスが本来のルートでなく動き出す。徐々に交通網は整備される。しかし、水道は!?まだ16万戸が断水状態らしい。

 昨日、家の近くの図書館に行く。区民文化センターの館内に図書館や区の施設がある。入ろうとすると前方はボランティアセンターの受付になっていて、その前を通るのに気が引ける。どう見てもボランティアの格好ではない。足ばやくその場を通り過ぎて図書館に入る。ふと目をやるとボランティアの手続きを終えた若者が人を待っている。

 この暑さと災害の余波でルンルン気分とまではなれそうにない。災害発生後、予定していた日帰りバス旅をすぐにキャンセル。しばらくはいくら外に出歩くのが好きでも遠出は考えてしまう。気分を落ち着かせるために本を読む。今のところこれが一番の鎮静剤。予約の本の順番が回ってこない。図書館の書架で目につく本を借りて帰る。

 金美麗『九十歳美しく生きる』(ワック、2017年)を読むと「日本人の多くはアンチエイジングという言葉が流行するように、若さを羨望し、歳をとることを否定するが、歳をとることはすばらしい。すくなくともむだに歳をとらず、充実した経験を重ねてゆけば、年齢は若さの輝き以上に人生に輝きを与えてくれるのだ。…そうして重ねてきた人間の年輪は、杉の大木の切り株の上に描かれた年輪が美しいのと同様、真っ白だった象牙が飴色に艶めくように、いずれも個性的で美しい」とある。8-9p

 歳を重ねた人の本を読むことが多くなった。この人たちの生き方を見倣いたい。ここにある「杉の大木…」、この秋に日本画教室の作品展で杉の大木の絵を出す予定にしている。思わずこの言葉に反応してしまった。

 金美麗は日本国籍を取得している。なぜと思ったらこう書いている。「日本政府が私たちを台湾に強制送還せず、パスポートもないのにビザを更新し続けてくれたことは、決して忘れてはならない恩義である、というのは本音だ。私が親日であり、ついには日本国籍を取得したのは、この恩義に一生をかけて報いるつもりだからだ」。131p

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

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