2021年11月14日日曜日

『生きているのはひまつぶし』

 昨日は日本画作品展が終わってから初めての教室に出かける。どの人からも作品展の話になる。先生曰く「絵が趣味の人は私も含めて変人が多いね」と。ふと思った。「絵が趣味?」と。習っているから趣味と言えるしれない。が、人に趣味と言えるほどにはそう思っていない。とは言いながらも相変わらず樹木を描いている。

 作品展に出した絵がまだ我が家に戻ってこない。画材屋さんの情報によるとこの秋は急に忙しくなったそうで絵が戻るのはまだ先になりそうだ。

 『生きているのはひまつぶし』「深沢七郎未発表作品集」(深沢七郎 光文社、2005年)を読んだ。いろいろと本を読んでいると人の文章を引用した箇所がある。先日読んだ本に深沢七郎の『生きているのはひまつぶし』の引用があった。これまで深沢七郎の本を読んだことがない。タイトルに惹かれて図書館で本を探すと最寄りの図書館に本があった。深沢は父と同世代を生きている。本を読むとなかなか味がある人に思えてきた。こういう人の講演はきっと含蓄のある話が聞けるに違いない。が、今は時すでに遅し。此の世におられない。以下に気になる箇所をメモしよう。

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

★とにかく嫌なことは忘れて、楽しい瞬間をなるべく多く作ることだね。そのために稼いだり、乗り物に乗って移動したりするんだから。稼ぐのはめんどうだけど、楽しい時間を作るための支度だからね。とにかく、生きているうちは暇つぶしがいい。ギターを弾いたり野菜を作ったりするのも暇つぶしだね。オレには生きていることが青春だからね。死ぬまでずーっと青春の暇つぶしだね。

 人生とは何をしに生まれてきたのかなんてわからなくていい。三千年前に悟りを開いたお釈迦様は、”それじゃわからない”と悟ったから悟りを開いたんだね。此の世は動いている。日や月が動いているのだから人の生も死も人の心の移り変わりも動いている。人間も芋虫もその動きの中に生まれてきて死んでいくということだね。まあ、暇つぶしながら、死ぬまでボーッと生きている。それがオレの人生の道、世渡り術というものだよ。(176-177p)

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