2021年5月5日水曜日

『作家の贅沢すぎる時間』

 『作家の贅沢すぎる時間』(伊集院静 双葉社、2020年)、サブタイトルは「そこで出逢った店々と人々」を読んだ。伊集院静は人気作家で図書館で予約するも簡単には手にできない。この人、自分自身と記念日が同じと知って愛着がわく。以下は気づいた箇所をメモした。

 サントリーの創業者の話はこの本で初めて知った。この生き方は先日読んだ本多静六と似ている。自分を表に出さずに行動する姿である。次に記した「思い立ったらすぐに立ち上がるのが人間行動の初期の重要な点」は本当にそう感じる。勇気も希望もなかった若い頃、この思いがあれば人生、少しは変わっていたかもしれない。とは言いながら、生きているうちにそう気づいてよかった、との思いも強い。

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

★酒造メーカーのサントリーの創業者、鳥居信治郎の逸話をいくつか耳にし、関係者に話を聞くうち、この人物がどのような生き方をしたのか興味が沸いた。さらに調べてみると、これが予測した以上に、人間味があり、現代人から見ると大変な苦労をしていることがわかった。何より興味を引いたのは”陰徳”という考え方だった。”陰徳”とは字のごとく”徳をするのに陰でなせ”つまり誰かを助けたり、施しをなす時、その行動を表には決して出さず、善をなしたなどと思ってはいけないということだ。その教えを、彼が死してからも、のちの人々にずっと厳守させているというのである。東日本大震災の折、この会社は震災直後にすぐに東北三県の知事のもとに多額の現金をもって行っている。しかもその行為を”陰徳”、すなわち公表せず(一部新聞が数行の記事にしたが)とした。(177-178p)

★というわけで、本屋へ行くもよし、旅に出るのもよし、ただし思い立ったらすぐに立ち上がるのが人間行動の初期の重要な点である。(194p)

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