2019年2月14日木曜日

『坂の上の雲』(五)

 真夜中、熟睡中にもかかわらず、隣町の町内放送で起こされる。何の放送なのか聞こえず、気になってすぐには寝つかれない。明け方、またも放送がある。お蔭で今朝は寝不足気味。午後はプールで泳ぐつもりだが、さてさて……。

 今朝、ダグニーさんのブログを見ようとするが表示されない。こういうことはこれまでなかった。もしかして自宅を離れてどこかへ移られたのだろうか。気になる。

 以下は先日来から読んでいる『坂の上の雲』(五)(司馬遼太郎 文藝春秋、2004年新装版第1刷)。また気になる個所を記そう。

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

★要するに明石基二郎の諜報と革命扇動の基盤は、ストックホルムのカストレンの隠れ家でできあがった。「扇動」といったが、厳密には明石は扇動ということばに値するような言辞は一度もつかっていない。使ったといえば、「日本はポーランドやフィンランドになりたくない。東京がワルシャワやヘルシンキになって、東京の宮城にロシアの総督をむかえるなどはごめんである」ということをいっただけであった。明石はロシア通だけに、この戦争にロシアが勝てばどうなるかがよくわかっていた。朝鮮半島は、ロシアの領土になるだろう。日本は属邦になることはまちがいない。ロシア帝国はその威容を示すために、ヘルシンキでやったと同様、壮大な総督官邸を東京に建てるだろう。さらに太平洋に港をもちたかったというながい願望をはたすために、横須賀港と佐世保港に一大軍港を建設するにちがいない。……明石はロシア語を学んだとき、極東のウラジオストック(Vladivostok)という町の名は東を征服せよという意味であることを知ったが、運命次第ではロシア帝国の東(vosutok)が東京になるかもしれないとおもった。……すでにロシアの侵略政策の犠牲になっている国々のひとびとは、「日本までが自分たちの国とおなじ運命になってはいけない。逆にもし日本がロシアに勝てばロシアの爪がゆるみ、われわれはこの現況からのがれられるにちがいない」と言い、かれらは日本と運命を共同している感をふかく持った。純露人の不平分子に対しても右と同様のことをいった。彼らもこの言葉に共感した。「われわれ純露人も、ロシアの専制皇帝に支配されており、属邦のひとびと以上のくるしみを受けている。日本国民の恐怖はよくわかる」という者が多く、このため明石が革命用語がかった演説をしなくても、この言葉ひとつで彼等と情念や利害感情をともにすることができた。80-82p

★——ロシアはなぜ負けたか。という冷静な分析を一行たりとものせなかった。のせることを思いつきもしなかった。かえらぬことだが、もし、日本の新聞が、日露戦争の戦後、その総決算をする意味で、「ロシア帝国の敗因」といったぐあいの続きものを連載するとすれば、その結論は「ロシア帝国は負けるべくして負けた」ということになるか、「ロシア帝国は日本に負けたというよりみずからの悪体制にみずからが、負けた」ということになるであろう。もしそういう冷静な分析がおこなわれて国民にそれを知らしめるとすれば、日露戦争後に日本におこった神秘主義的国家観からきた日本軍隊の絶対的優越性といった迷信が発生せずに済んだか、たとえ発生してもそういう神秘主義に対して国民は多少なりとも免疫性をもちえたかもしれない。122p

0 件のコメント:

コメントを投稿