『迷わない』(櫻井よしこ 文藝春秋、2013年)を読んだ。以下は気になる個所の抜粋から。
★ビジネス文書も、親しい相手に綴る手紙も、さらには今やコミュニケーションツールとして不可欠なEメールも、基本的に同じではないでしょうか。誰かに向けて書いた文章は、きちんと相手に伝わってはじめて、「書かれた」ことになります。「要を得て簡」が大事なのは、万人、いや万国共通のことだと思います。48p
★迷わない。大事な局面であればあるほど、迷わない。そして希望を持ち続ける勇気を失わない。……決断のとき、必ず道は開ける、絶対大丈夫と、心の中で信じていたような気がします。期待値は実現するのです。160p
★老後が不安で就職に迷うという若い人には、「期待値は実現する」ということをぜひ胸に留めてほしいのです。不安だと思いつづけたら、不安が実現します。何とかなると思っていたら、本当に。何とかなります。173p
★一日一日、前を向いて、何とかなる、何とかすると考えて、自分の気力と体力、教育によって培った知の力を信じて、自分を信頼するのです。夢は必ず叶うのです。大いなる夢を抱いて、自分を信じていくのがよいのです。176p
★江藤淳さんが書かれていますし、柳田国男さんも書かれています。日本では死者と生者が同じ風景を見ている、と。亡くなった人の魂は日本の上空のどこかに浮遊しておられて、生きている私たちを見守っていてくださる。この上なく温かい気持ちで、日本に幸あれと、生きている人が自分の人生を生きられるように、安寧に幸福に生きられるようにと見守ってくださると思うのです。……そういう精神世界をつくるよう助けてくれるのが日本の宗教なのではないでしょうか。203p
★母は、私のためにここにいてくれる、私のために一生懸命、生きてくれている。私の親しい年長の方がそう言ってくださいました。そして私もそう感じます。世話しているのではなくて、母は独身のままの私を案じて、この子はいつまで経ってもひとりだわ、見守ってやらなくては、と心配して私のためにここにいてくれるのだと、実感します。高齢の親と一緒に過ごす時間を持てるのは、かけがえのない幸福です。223p
★私はいま、母と丸々一緒にいることができます。これは私たちの先祖の日本人が考えていた幸福の形であろうと感じます。日本人の幸せの形をお裾分けしていただいているような私はいま、とても幸せです。派手ではありませんが、穏やかな温もりと充足感に包まれた揺るぎない幸福の中にいると思います。224p
★百三歳の母ですが、笑顔は以前より多くなりました。そのことを私は何よりの幸福と思っています。母は迷わずに、いつも全力を尽くして生きてきた人です。私も迷わずに全力で生き続けたいと願っています。225p
櫻井よしこの母は今年の春、106歳で亡くなっている。著者が母親とのことを書いた箇所は自分自身、親の介護を経験しているので痛いほどよくわかる。なかでも「世話しているのではなくて、母は独身のままの私を案じて、この子はいつまで経ってもひとりだわ、見守ってやらなくては、と心配して私のためにここにいてくれるのだと、実感します。高齢の親と一緒に過ごす時間を持てるのは、かけがえのない幸福です」の件は全くその通り。母が亡くなり、部屋を片付けていると家計簿らしきノートの2ページにわたって赤のボールペンで大きく10か条ほど書いた文があった。母が80歳の9月15日、「眠れぬ夜に……」の書き出しで私宛に書いている。親が80歳は私が50歳のときになる。その頃は母のことを顧みず、自分のことばかり考えて自由奔放に過ごしていた。それでも母はいろいろと気遣ってくれていた……。
本を読んで櫻井よしこに親近感を抱く。昨夜は兼高かおるの本を読んだ。この人も独身のままに生きている。母親への気持ちは櫻井よしこと相通じる。
ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!
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