昨日のこと、お昼を食べて人からのメールで気づく。お墓参りを忘れている…。
毎月18日は自宅にいる限り、欠かさずお墓参りをしている。それなのにそれを忘れていたとは…。
真昼にもかかわらず、すぐにお墓に参る。持参するお花は仕方なく仏壇のお花ですませる。墓地について持参したものを見るとなんとお花がない。腕にかけていた袋から落としてしまったようだ。
それにしてもそれさえも気づかずにいたとは我ながらあきれる。お墓の花入れを見ると大雨の影響か、挿していた花から白い根が生えている。花器入れを洗って再度このお花を生ける。
日中の真っ盛り、墓地には誰もいない。お墓の周りの草を抜いて家に着くとすぐにシャワーを浴びる。
その後、気を取り直して街中へ。デパートの中をうろついているとバーゲンに目がくらむ。いつもは買わない売り場で買ってしまった。
用を済ませてJRに乗る。まだ会社員の帰宅時間には早い。車内も混んでいない。となりにすわった人を見ると長い袋を掛けている。不思議に思って声をかける。
小学生かと思ったら中学2年生。袋の中身は新体操に使用するグッズらしい。
どこまで?と尋ねるとスポーツセンターという。この間まで通っていたプールのところだ。なぜ?と再度聞くとそこで新体操があるという。それも週5日通うらしい。自宅を聞くとかなり街中。それにしても広島駅で乗り換えると片道1時間以上はかかるはず。
ましてや、出かけるスポーツセンターは街中でなく田舎にある。帰りはどうする?と聞くと皆で最寄り駅まで行くという。この女子中学生も定期券を買っていた。
出会った時刻が5時ごろ、終わるのが午後8時。家に着くのは午後10時ころだろうか。それにもかかわらず放課後、週5日の練習は並大抵なことではない。
頑張ってるね!と言って励ます。顔を覚えておくね!活躍してね!と言って別れる。
ふと中学2年生の頃の自分を振り返る。これほど眩しい生活をしていただろうか。
この頃の子供は…と言われることがある。ところが、世間でいうほど子供も変ではない。どの子もよく頑張っている。見習うべきは我々大人。
最近読んだ本がある。『熱く生きる』。昨日の中学生はこの本のように熱く生きている。以下はいつものごとくこの本を読んで「熱く燃えた」箇所を抜粋したもの。
天野篤『熱く生きる』(セブン&アイ出版、2014年)。
本の裏表紙には以下のように書いてある。これだけ見ても本の中身が理解できそう。それにしても素晴らしい人だ。こういう医師がすべてならば患者も救われるだろう。そう思って読んだ。
「この本は世の中への檄(げき)」だ―
〇自分が受けた恩恵は世の中に返せ
〇難関校を出た秀才だけが医師になってよいのか
〇ゲームばかりして、と叱る親は才能の芽を摘んでいる
〇すべての仕事は世の中のために役だってこそ価値がある
日大医学部を卒業後、どこの医局にも属さずに、ひたすら腕を磨いてきた心臓外科医が、2012年、2月、天皇陛下の心臓バイパス手術を執刀した。偏差値50もなかった三浪の時代を経て、あえて厳しい道を歩んだプロフェッショナルの「思いと情熱の磨き方」「人生の切り拓き方」―。
*サインは気恥ずかしいが、そこにはしばしば、「明日のために今日の一日を大切に」と記す。…「今日一日を大切にすれば、明日は必ず来る。そこでは、新しい医療もあるかもしれない―」それは、自分にいい聞かせるための「心の言葉」にもなっている。44p
*私が心臓外科医としてもっとも成長しなければならないと思った原点は、ましがいなく自分の父親を助けることができなかったことにある。心臓弁膜症の父を助けることができなかったことが、もっとも大きな原動力となっている。59p
*自分の父親を、医師である自分が立ち会った手術で失うということは、これまでの自信も経験も何もかも消え、無力感だけにさいなまれた。…だからこそ、そこからの私は死にものぐるいで、ひたすら心臓外科医としての腕を磨いてきた。…ある意味では父の魂を背負って生きているのだ。61p
*今は順天堂大学医学部の心臓外科教授というポジションに押し上げていただいたが、もともとは出身大学の医局にも属さずに、一匹狼ともいえるような道のりを歩いてきたノンエリートだ。ここに私の原点がある。77p
*医師に限ったことではないが、才能を伸ばすのは受験勉強ではない。そしてコンピュータゲームのように、親の立場では、一見無駄と思われていることが、いずれ無駄でなくなることもある。ようは、多様な才能の受け皿をつくらなければならないと思う。それがほんとうの教育だと感じている。79p
*「ネジを巻いている時間」を持つことは、別の見方をすると、とことん自分を追い込んでいることでもある。だから、どんな結果になってもいい訳はできない。だからこそ、「ネジを巻いている時間」が、その後の頑張りにもつながる―そう信じている。88p
*ピンチに陥っても絶対に乗り越えていかなければならない局面はある。だが、「何がなんでも、患者さんを助ける」、という思いがあれば、次の行動をとり続けられる。全体を俯瞰して、一瞬冷静になったうえで危機を見つめ直し、そして問題点をひとつひとつ克服すれば道は拓けていく。150p
*「記憶の上書き」をしていく人は心が折れない。155p
*私が手術を数多く行ってきたのは、振り返ってみると、手術を多く行うことでより多くのよい経験を得ているからでもある。それは同時に過去のつらい記憶を消し去ってくれることにつながっているのだと思う。158p
*天皇陛下の手術を執刀する機会に結びついたのは、私が心臓外科医として、「命を救うために、人生をかけて邁進してきた結果」だと思っている。心を熱く、ひたすら邁進してきたからである。166p
*「この道を行けば どうなるものか 危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし 踏み出せばンその一足が道となりその一足が道となる 迷わず行けよ 行けばわかるさ。」…これはプロレスラーだったアントニオ猪木さんが引退セレモニーで読んだ「道」の一節である。もともとは一休和尚の言葉といわれている。私は、この言葉が好きで、大きな決断をする前には、心のなかでこの一節を唱えている。232p
*患者さんを治し、回復する過程では心まで癒す確率の高い医師が名医である。それにはどんな悪コンディションでも、よい結果を自分で導くように方向づけられる力が求められる。コンディションが悪い状況では、フェアーウエイも狭いだろうが、それでもフェアーウエイの真ん中にドライバーショットを置ける、それが名医だ。248p
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