2025年10月14日火曜日

『戦国の忍び』収録の『下請忍者』

 『戦国の忍び』(司馬遼太郎・傑作短編選)(司馬遼太郎 PHP研究所、2014年第1版第3刷) )には『下請忍者』『忍者四貫目の死』『伊賀者』『伊賀の四鬼』『最後の伊賀者』が収めてある。そのなかの『下請忍者』を読んだ。以下に気になる箇所を記そう。

★「儲けるのは、スグリだけやな」与次郎が、腹の立つのはそれだった。スグリというのは、村主(すぐり)、妙手(みょうしゅ)の字を当ててもいい。往古から伊賀に土着する平姓(たいらせい)の郷士で、与次郎のばあいは、百地小座衛門がそれに当たる。忍者の世界では上忍(じょうにん)ともいう。忍術伝説でいえば、百地三太夫などが上忍にあたり、講釈で活躍する猿飛佐助や霧隠才蔵などは下忍になるわけだ。いまの保険会社でいえば、上忍は代理店主にあたり、下忍は勧誘員ということになるだろう。(10p)

★(わしは伊賀を遁(に)げた。また伊賀に帰っている。むかし孫悟空という唐の猿が、ついには釈迦の掌(たなごころ)のうえでしか走れまわれなんだように、わしも伊賀者の宿命のなかから、しょせん、あがき出らぬものかも知れん。そうやとすれば、たかがスグリの一人や二人を斬ったところで、わしの運命がどうかわることもない)与次郎は、刀と半弓を草むらのなかへ捨てた。身を守る武器がもはやないとなると、かえって気が楽になった。そのまま楽々と死の国へ踏みこんでゆけそうに思えたのである。(45p)

 短編集の『下請忍者』を読み終えて『司馬遼太郎全仕事』をチェックする。そこで気づいたのは短編小説集のうち出版社によってダブって収めてある本がある。昨日借りた『ペルシャの幻術師』を見るとこれにも『下請忍者』が収めてある。先のそれはPHP文庫に収めてあり、後の方は文春文庫にも収めてある。他にも新潮文庫等も他の短編集が収めてあるようだ。

 司馬作品を生きてるうちに全部読み終えようとしている。が、すべて網羅するのは大変かもしれない。おおよその司馬作品を読み終えればそれでいいとも思ったりしている。とはいえ、まだ読み終えていない本は沢山ある。気長に楽しみながら読むことにしよう。

 今日も暑く成りそうだ。プールで泳ぐ!?

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

0 件のコメント:

コメントを投稿