2017年3月29日水曜日

「老いることが否定される社会に未来はない」

 問題となっている旅行業界。この問題が起きるまで新聞一面の旅の広告も今朝は鳴りを潜める。昨年まで何度か利用していた旅行業者も宣伝媒体が新聞に打って変わり、旅の情報誌は全く来なくなった。来なくてもいい。参加人数で点を稼ぐのか、一人参加で追加料金を払っているのにバスの席が添乗員の横とか、一番末席の真ん中にも座らせられた。こういう業者は利用してはダメだ、と思った。昨日届いた旅のパンフは業界最大手の会社。先日の屋久島もこれから出かけるポーランドもこの会社を利用する。

 昨日届いたパンフは同じ旅行社でも地域ごとに経営が異なるのか旅の案内も異なる。ともあれ、今回の業者の問題も経営不振に陥ると「老人」をターゲットにする。昨日、東京の姪は旅好きの老婆を心配して気を付けるようにと電話をかけてくれる。他にも両親にメールで知らせたようだ。「安物買いの銭失い」や「ただほど高いモノはない」の例え通り、詐欺まがいのことをしてお金儲けをしようとする人たちはあの手この手で「老人」をねらう。困った社会になったものだ。それと共に「老人」の持つイメージが悪くなっている。

 今朝の地元紙に広島市立大学の文化人類学者田川玄准教授は以下のように述べている。「少子高齢化がもたらす医療、介護、年金など社会保障の負担増大が、深刻な社会・財政問題とされ、不安をひろげています。高齢者のイメージはマイナスのイメージがつきまといます」。自身が研究している「アフリカに見る老い」を例にしてアフリカと日本の老人観の違いを話す。田川の研究するエチオピアの牧畜民社会ボラナの老いは「豊かでありますように、長生きしますように」という意味の祝福の言葉が使われ、長生きは人生の偉業であり、祝福される対象だという。「アフリカは遠い。これまで当然視してきた老いの在り方を問い直すきっかけになるかもしれません。『良い生き方(ウェルビーイング)』へのヒントを与えてくれるでしょう。老いることが否定される社会に未来はないはずです」。

 確かに老いることが否定されては困った未来になる。しかし、「老婆」を生きるものとしては「老いる」ことも悪くないと思う。というのも年齢を経て今が一番自由で気楽に過ごしている。その底辺には老い先短いかもしれないが自由な時間、働かなくても入って来る年金、そして健康がある。健康でなければそういう思いもないかもしれない。

 ともあれ、今は元気。昨日も鼻水に負けまいとプールで泳ぐ。見知らぬおっさんから耳栓をして泳いでいるといつもこんなに人が多いのかと聞かれる。火曜日は原則、フルートのレッスン日。昨日はレッスンがなかったためにプールで泳ぐ。3月で会社などリタイアして泳ぎに来た人かもしれないが、年々、60歳や65歳でリタイヤした人たちがプールに多く集まる。プールも人が少なくなるのは見込めそうにない。

 どうあっても「老い」が老害とならず、長生きを素直に喜べる社会となる。そして悪の餌食にもならないようにして「良い生き方(ウェルビーイング)」で楽しく過ごしたいものだ。ブログを書き終えて思った。自分だけは得をしよう、自分だけは幸せになろうとする欲張りな気持ちが悪徳業者やわけもわからない宗教へと走らせるのだろう、と。過剰な欲を出してはいけない。ナニゴトもほどほどに…。

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