2016年5月13日金曜日

『トットひとり』

 今年のGWに読んだ本の最後は『トットひとり』(黒柳徹子 新潮社、2015年3版)。表紙をめくるといきなりの言葉は以下の4行。
 
   私が好きだった人たち、
   私を理解してくれた人たち、
   そして、
   私と同じ匂いを持った人たちに―

 4行目の「同じ匂いを持った人たち」へのエピソードを紙面のほとんどに費やしている。それも面白おかしく述べている。思わず読みながら吹き出すこともあった。「エピソード」、といえば先日読んだ矢作直樹の本に以下のようなことが書いてある。

 「私たちがあの世に持っていける財産、それはこの世での”エピソード”です」。

 黒柳は知り合ってから亡くなるまでのエピソードをひとりずつ綴る。そして、親しかったひとりずつを家族に例えるように「母さん」「父さん」「兄ちゃん」「お姉さん」…と語り掛ける。だが、その人たちはもうこの世にいない。最後の章の「幕が上がる時」に書いている。

 「単に同世代、というより、自分と同じ匂いを持ったひとたちが、知らず、知らず、いなくなっていく。そんな寂寥感を味わうことが、歳をとる、ということかもしれない。子どもの頃、みんなと夢中になって遊んでいたのに、もっと遊んでいたいのに、気がつくと、ほのかに宵闇が近づいていて、広い公園の中にひとりぼっちで残されてて、どうしたらいいんだろうと途方に暮れた、ああいう感じに似ている。穴が空いたのに、替わりに埋めるものが何もない、といった寂しさ」。298p

 本の最後は若い頃、黒柳がノートに書き写したという映画「草原の輝き」からワーズ・ワーズの詩を引用している。

    草原の輝き 花の栄光
    再びそれは還らずとも
    なげくなかれ
    その奥に秘めたる力を
    見出すべし

 こう記した後、「どんなに寂しく悲しいことがあっても、喜劇をやっている人間は、笑って頂けるように、生きていくことが大切。私は、これまでも、そうやって生きてきた。それが生き残った者の使命に違いないと信じて。」、と記す。300p

 客席に向かう時、筆者である黒柳は、これらのいろんな大切な人たちに、「客席に座って、どうか見てて下さい」とお願いして舞台へ出ていくという。301p

 私の周りで同じ匂いを持ったひとたちとはさて誰を指す!?これまでいろんな形で知り合った人たち。そういうひとたちのことかもしれない。歳をとれば増えてくる!?同じ匂いを持ったひとたちと元気で楽しく遊ぶに限る!?

 昨日は以前の職場の人と久々のランチ。立町のお店に行く。その後もその界隈の甘党のお店に入る。食べてしゃべってと忙しい!駅までの道で川に目を向けるとじーっと動かずにいる鳥を見つける。久しぶりの晴天の一日。京橋川も綺麗だった。川面と鳥。これも絵になる!?今朝はこれから西条へ。今日も元気で!
駅前大橋下を流れる京橋川
これも絵になる!?
空も川も真っ青

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