2024年4月8日月曜日

『司遼太郎対話選集』(4)「日本人とは何か」

 空が怪しくなっている。雨になりそうだ。造幣局の桜を見に行く予定だがさてさて……。

 『司遼太郎対話選集』(4)「日本人とは何か」(司馬遼太郎 文藝春秋、平成十五年第1刷)(「人間について」山村雄一との対話)を読んだ。司馬遼太郎の対話相手である山村雄一は元阪大学長で医師でもあった。興味ある箇所を記そう。

★司馬 絵かきもそうかもしれません。日本画家など、すこしぐらい脳軟化症になったほうが、いい絵を描けるんじゃないですか(笑)。いろいろ描き足さない。枯淡の境地は、多少脳軟化症でないと(笑)。小説家は、だめですけれど。

 山村 ”見ざる・聞かざる・言わざる”の境地になればなるほど、直截に物事を自然に見るようになってくるから、年とってそういう心境になったほうがいいと、私は言っているんです。無理して老眼鏡をかけるとか、補聴器をつけるとか、そんなことをほどほどにしたらどうだというんです。ぼくの尊敬するガンの学者の吉田富三という先生が、あるときぼくにその話をされました。お母さんの歯が悪くなり、入れ歯してはどうかと言ったら、お母さんが、歯が悪くなったのは、かたいものを食うなとのおぼしめしだ、胃もそうなっているんだ。それを何を今更入れ歯してかたい肉なんか食べなきゃいかんのか。この歯ぐきで食えるものを食えというのがおぼしめしなんだ、と。これを聞いて吉田先生は非常に感心されたそうです。(『人間について』「生と死のこと」72p-73p)

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

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