昨日投稿の山村雄一については今、読んでいる『司馬遼太郎が考えたこと12』の(「あとがき『人間について』)に収めてある。以下にその中の一部を記すと「九州にいるころ、『朝日賞』(昭和三十四年)を受賞し、やがてこの人にとって意外なことだったが、大阪大学の内科の教授の席が空いたためによばれるというはめになった。基礎医学の教授が臨床の教授になるというのは、破天荒なことであったろう。人事などは、いわば俗事にちかい。こういうことも触れておかねば、山村雄一というひとの成立を理解する上で、十分なカードではないとおもったためにふれた。このひとの理解のために、必要な一枚をぬきとるとすれば、この人が生活者としての人間を愛し、生体としての人間にあたらしい洞察をもち、さらにはこの地球上に棲みあわせている人間の仲間たちのゆくすえを、少年のころの母君が幾人かのお子さんに対してそうであったように、ほとんど等質の遺伝的気質で憂いつづけているというカードだけである。こんにち、たれもが、人間が意外な段階に置かれているためにさまざまに憂えている。しかし、生命の科学という行方も知らぬ場所に立っているこのひとの場合、私どもとはちがった情景を見つづけているに相違なく、そのことについて沈黙させていることは人間への義務に欠けているかと私どもは思ったりする。じつのところ、私などはそのことについての適当な話し相手ではなかった。しかし私一個人としては毎度の対談の席でこの人の風韻に接するだけで楽しかった。」(56p-57p)とある。
これは昭和58年7月に書いている。これを読んで司馬遼太郎の『人間について』にひどく惹かれる。早速、これが収めてある本をネットで調べると『司馬遼太郎対話選集4』にあった。昨日、すぐに図書館へこの選集を予約した。さきほど、この本の予約確保のメールが入る。
図書館へ予約する際、とくにこのような選集ではどの巻に読みたい本があるのかすぐにはわからず、ネットで予約するだけでかなりの時間を要した。しかし、いったん予約すると古い本なので借りて読む人は少ない。お陰ですぐに借りられる。
司馬遼太郎の長編小説や短編小説はほとんど読んでいる。が、司馬作品には紀行やエッセイ、さらには講演収録や対話選集といったように著作だけではなく話したことなどもたくさんある。対話選集も1巻ではなくシリーズ化していて、それも1巻に収めてあるのは一人ではない。
司馬作品ひとつをみても今回のように次々と関連することが出てくる。というかどんどん読みたくなる本が出てくる。これも生きる楽しみ!?
ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!
0 件のコメント:
コメントを投稿