2022年12月3日土曜日

土佐の旅

1日目 2022年11月29日(火)

 広島駅新幹線口から高速バス「土佐エクスプレス」に乗って高知駅に向かう。高速バスの所要時間は約4時間余り。途中、八幡PAと豊浜SAで各15分の休憩がある。初日はあいにく小雨である。丸亀辺りで一瞬、日が射すがそれもつかの間。四国の山々を貫くトンネルを通り過ぎると雨の勢いが増してくる。高知駅バスターミナルには12時半に到着した。今回は運行するバス会社がホテルと往復バス代込みで発売した個人旅行である。この旅費は高知県と国の旅行支援をダブルで受けてとても安い。さらに3000円のクーポン券がつく。

 高知駅バスターミナルで下車後、雨の中、駅の反対側にある「こうち旅広場」の高知観光情報発信館「とさてらす」に向かう。ここで翌日に利用する牧野植物園や桂浜行の一日周遊の「MY遊バス」を購入。購入後、お昼の食事場所を探すと目の前の駅構内に居酒屋があった。今回は全ての食事がついていない。勇気を出してお店に入る。土佐といえばカツオのたたきが有名だ。是非とも本場のたたきを食べてみたいと思った。注文しようとするとお昼の定食をすすめられる。これには魚の煮付けなどあり感じがいいお店だった。
土佐エクスプレスの車窓から まるで墨絵の世界!?

こうち旅広場(左側) 高知駅(右側)
 こうち旅広場に立つ3体の像を見に行こうと足元を気にせずに歩いていたら靴が水たまりにハマった。背中のリュックも降り続く雨でびしょ濡れだ。それも仕方ない。傘が小さい折り畳みだ。駅前の「とさてらす」で高知駅から目指す龍馬の誕生地までは市内電車に乗るように教えてもらった。が、そこまで行くにははりまや橋で乗り換えねばならない。はりまや橋まで行く途中にこの日の宿がある。(宿を探しながらはりまや橋まで歩こう)と思って辺りをキョロキョロしながら歩く。途中、高知橋一帯に茂る蘇鉄などが南国土佐を思わせてくれる。高知橋を渡ると「槇村浩生誕の地」の標識がある。初めて知った人だが反革命詩人らしい。雨の中、写真を写すのも大変で片手に傘をさして右手で写す。
「龍馬伝」幕末志士社中 左から武市半平太、坂本龍馬、中岡慎太郎
南国土佐の樹木が生い繁

 はりまや橋に着いた。はりまや橋が街の中心地なのか十字路になっていた。ここで電車に乗る。電車は広島では珍しくないがどこの電車もゆっくり走る。上本町1丁目で下車し龍馬の誕生地を目指す。電車を降りた場所に誕生地があるとは知らずに歩く。が、場所がわからず人に聞くとバス停前に石碑があるという。誕生地の石碑はまるでお墓のようだ。石碑の前に立つと、上、左右に見事な生花が活けてある。触ると飾り物ではなく本物の生花だ。だれが管理するのだろうか、よく行き届いている。

 バス停には数人がいる。「龍馬の生まれたまち記念館」を探しているようだ。その人たちの後をついて行く。が、どこにあるのか迷った様子だ。行きかう親子に聞くと目的地が同じでついて歩く。記念館に入ると入館料に各種割引がある。一覧表を見せられて、これまた安く切符を購入する。
龍馬の生まれたまち記念館

坂本龍馬誕生地の石碑

 もらったパンフによると記念館は高知市立となっており、この上町で生まれた龍馬がなぜここで育ち世に出たのかを展示や映像などで紹介している。館内の見学を終えると電車に乗ってはりまや橋に戻る。お天気が良ければすぐ近くにある高知城へも行きたかった。が、雨の中、リュックを背負って行くのは無理と思ってはりまや橋で降車し、高知大丸付近を歩くが繁華街なのに人の動きがない。ひろめ市場へ行こうかと思ったが雨に負けて宿に向かう。

 数分歩くと高知パレスホテルに着いた。チェックインをしようと中に入るがフロントらしきところへ行かれない。キーが必要とある。どうもホテルの入口が違うようだ。入ってきた人に聞くとそこは宿泊する禁煙館で本館は向かいの建物だった。受付けでチェックイン後、ドアボーイに近くにある食べ物屋を尋ねる。禁煙館の隣にコンビニがあり、その隣に居酒屋があると教えてくれた。部屋に入るまでにそのお店を物色するとすぐ近くにあった。

 部屋に入るとずぶ濡れになったリュックの中身を出して乾かす。靴もソックスも脱いだ。何もかも濡れている。雨に濡れてもこの日は幸い寒くなくてよかった。新たなソックスに履き替えて部屋のスリッパで過ごす。気持ちが落ち着くと夕飯を食べにお店に行く。和食のお店でカウンターに座る。(さて何を)、とメニューを見るがお腹は空いていない。握りずしと生ビール、そして鰹のたたきが入った中巻を注文。と、その時、フロントでもらったクーポン券を部屋に置いたままにしていると気づく。わけを話して部屋に取りに行く。何と落ち着きのないことか、と我ながらあきれる。なお中巻は朝食に。

 もらったクーポン券は超えたがここで使い果たした。今回の旅は食事がついていないので食べることが気になる。が、一人でお店に入るのも徐々に慣れてくる。部屋に戻ると湯沸かしやティーバッグはあるが珈琲がない。本館にあるレストランはパンフではイタリアンやフレンチレストランと書いてあったが実際はテイクアウトのみ。お湯を沸かして持参した珈琲スティックを飲む。どういっても安いパック料金。文句は言えない。この日は7847歩ほど歩いていた。 

2日目 2022年11月30日(水)

 前夜、急遽予定を変更してMY遊バスの時刻を1便早めて9時発に乗る。が、乗る場所を確認ずに高知駅バスターミナルに向かった。その場所に行くも標識にその行き先がない。案内所で確認するとこの反対側に乗る場所があるという。急いで引き返して人に聞こうとする。が、駅前なのに誰も歩いていない。(どうしよう?)と思ったら人が来た。聞くとその人もバス停を探しているという。ついて行くとバスが止まっていた。

 2日目は高知駅から約1時間乗車して桂浜で降りる。桂浜では龍馬像と龍馬記念館を1時間半見学。その後、11時半のMY遊バスに乗って牧野植物園と竹林寺を散策、を予定した。高知駅で道連れになった人は桂浜の龍馬記念館が目的らしい。バス車内で話をすると茨城県から飛行機で高知に来たという。それも高知割と国の全国支援とのダブル割を適用とか。同じやり方でどの人も高知の観光を楽しんでいると思った。見知らぬ者同士なのに静かな車内で話をする。後で知り合った若い2人連れと話すと「車内で話していた人?」と問われる。どうも話が車内に聞こえていたようだ。

 話題は一人旅。茨城の人はしきりに一人で1年間世界を回った話をする。最近はハノイに出かけたそうだ。人と話をして自分には到底できないことをする人の話を聞くのは楽しい。よほど興味を持って聞いていたのだろう。車内で一人旅のすすめと題した講演会の模様をYOU TUBEで見るようにと名刺をくれた。地元主催の2時間の講演会でまだ数分しか見ていない。それによると長年、国際交流をされてホームステイなどもされている。

 来年はまた世界一周の旅に1年間かけて出るそうだ。個人的に日本国内の一人旅は何とかできても海外はツアーでしか参加できない。ツアーならばかなり出かけたと話すと回数と出かけた国を聞かれ、それを話すと驚かれた。

 桂浜公園にバスが止まるとまずは龍馬像を探す。が、広くて何がどこにあるのかさっぱりわからない。係に尋ねてまずは龍馬に会いに行く。龍馬像は遥か太平洋のかなたを見つめて立っている。近づくととても大きな像だ。像の高さは5.3m、高さは13.5mもある。この像は昭和3年、地元の青年有志によって建立されていた。今から94、5年前になる。

 龍馬像を見学後、浜辺に沿って歩くとうつぎの小道と椿の小道に出る.この道を抜けた先に龍馬記念館がある。標識では380mと短いようだが山道の石段でそれも一段が高い。旅の全財産を背負って石段を上がるのはとても大変。それも話ながら歩くので、(このきつさは高山病?)と思えるほどだった。龍馬記念館に着くもこれほど歩くとはつゆ知らず、気が付けば見学時間が30分もない。ましてや館内が何ヵ所にも分かれて展示されており時間がなくて気持ちが焦る。2つ目の展示室を見学中、先の道連れに時間がない旨告げてここで別れる。そして残り時間を急いで見学する。もらったパンフによると「坂本龍馬は土佐に生まれ、新しい日本を作るために奔走した人物です。当館は坂本龍馬を紹介する施設として、1991年に開館しました。館内には龍馬の手紙や関連資料の展示のほか、体験型展示コーナーもあり、楽しみながら学ぶことができる空間となっています」とある。どこを見ても贅を尽くした展示となっており、龍馬ファンはたまらないに違いない。

桂浜にある坂本龍馬像

桂浜

桂浜のいたるところにつわぶきが咲いていた

坂本龍馬記念館までの道から海を見下ろす

桂浜バス停下車後、坂本龍馬記念館まで険しい石段を歩く
 今回の旅の計画は時間的に相当無理がある。(また土佐に来い!)と言われているような気持で竹林寺と牧野植物園行きのMY遊バス停に向かう。はっきりバス停を確認せずに降りたので不安が募る。前を見ると若い人がバス停付近にいる。声をかけるとバス停を確認しているという。2人で確認してバスを待つ。若い人は学生時代の友だちと土佐で再会するとか。牧野植物園で2人は合流していた。

 牧野植物園と竹林寺はバス停が異なる。ところが若い人たちは竹林寺で降車すると隣が牧野植物園入り口と教えてくれた。竹林寺に12時に下車後、14時までの2時間が竹林寺参拝と植物園散策の時間だ。(2時間ある)、と気を大きくしていたら時間が足りそうにない。お腹もすいてくる。若者たちは停留所前のお店で食事らしい。食事は竹林を参拝後にして境内を歩く。

 竹林寺は四国八十八カ所霊場第31番札所である。境内を歩いていると同行二人の杖を持った若い女性が一人お遍路なのか参拝していた。

竹林寺参道 この石段横に牧野植物園がある

竹林寺五重塔

きれいな紅葉

竹林寺智恵の文殊大菩薩

色づきがいい!

日吉神社

竹林寺山門(仁王門)

 竹林寺を参拝後、牧野植物園に入る。入り口に自販機がある。珈琲を買い、持ち歩いていた非常食のパンを食べる。この日、夜遅く広島駅に着く。そう思ってお昼は高知駅についてから食べようと決めた。ベンチで食べながら休憩していると隣のベンチに神戸から5日間かけて車で旅行中の夫婦が座った。話をすると感じがいい人たちだ。その時点ではベンチに座る前に入った暗い部屋が温室とは知らず、すぐに外に出た。園内を奥に進むと中央に葉牧野富太郎博士像がある。
 
 広い園内にいろんな道がある。そのそばにはこれまたいろんな花が咲いている。タイキンギクの前では座ってスケッチする人がいる、声をかけるとスケッチ途中の絵を見せてくれた。その人は花の絵は写真でなくスケッチして描くほうがいいという。それがわかっていてもつい写真に撮って後でそれをもとに絵に描くいている。

見事な紅葉だ

シコンノボタン(リトルエンジェル)
タイキンギク

サツマノギク

花の名は不明

牧野植物園園内を歩く
 どんどん進んでいくと足が疲れだす。辺りを見渡すと先方にきれいな建物が見えてくる。牧野富太郎記念館展示館だ。展示館の外で珈琲を一人飲む女性がいる。たまらなくいい香りが辺りに漂う。珈琲を注文したくなるが飲んでいるとバスに間に合わない。かなり逡巡した挙句、珈琲はあきらめて来た道を引き返す。春には秋とは違う花が咲き、さらにきれいかもしれない。(またいつか来ればいい)、と思いながらバス停に向かう。

 停留所で先の若い2人連れと出会う。「温室の建物はわかってもその入り口がわからなかった」、と話すと受付に交渉してくれて再入園した。「温室がこの植物園のメインですよ」と促されてバスが来るまで中に入る。5分くらい見てバス停に行くが時間が来てもバスが来ない。若い女性たちは飛行機で長崎と愛知に分かれて搭乗するらしい。飛行機が間に合わなくなると言って電話でバス会社に問い合わせるとバス会社から返事が来るまでに遅れてバスがやってきた。
 
 若い女性たちははりまや橋で下車。下車前、手を振ってくれた。こちらも手を振って別れる。その後、高知駅バスターミナルにバスは到着。広島行のバス停を確認後、遅いお昼を食べる。高知駅は新しいきれいな駅だが食事場所があまりない。前日、お昼を食べたお店を探すと夜まで休みだ。カフェを見ると広島のお店だ。ここには入らず、他のカフェに入りハンバーグ定食と珈琲を注文。やっと珈琲にありつけた。2日目は15669歩とよく歩く。

 広島駅に20時半ごろ到着。久しぶりに夜道を歩いて我が家に帰る。1泊2日の土佐の旅。時間がなくて忙しかった。次はもっとゆとりを持って旅をしよう。やっぱり旅はいい!楽しいし、元気が湧いてくる!

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

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