中国地方が梅雨明けしたかどうかしらないが、今日の天気はもう夏空だ。そこで今月から3年目に入った我がブログも今日の青空にあわせてデザインを一新する。
午前中、近くの図書館に出かけて中丸明の『スペイン、とっておき!』(文春文庫、2007年)を読んだ。この著者は今まで知らなかったが、スペイン関係では多くの著作があるようだ。文の書き方は全く上品さにかけるが、それでも参考になるところがあったのでそれを記したい。
全体を通して頻繁に使用されている言葉は「コーニョ」で「ったくも!」の意味だとか(10P)。お国柄をあらわす言葉は「アスタ・マニャーナ(いずれ、そのうちにね)」で、「明日じゃ間に合わん」といってもアスタ・マニャーナだとか(39P)。
スペインを象徴する色について「青、アスールは、スペインの色なのだ」という。ピカソの『自画像』の中でよき理解者であり、パトロンであったガートルード・スタイン女史は「スペインの悲しさ、スペイン的色彩の単調さは、ピカソがパリで生活したあとだったので、彼が故国に帰ったとき、彼を強く打ったのでしょう。と言うのも、スペインは他の南方の国と違って、色彩が少ないんです。スペインの色はすべて、白、黒、銀、金であって、赤も緑も全くないのだということを、忘れてはいけません。この意味でスペインは、オリエンタル(東方的)な国なのです。ですから、女たちは色ものよりも黒を多く着るし、大地は乾いて金色をしています。ですから、空は青というより、黒みがかった蒼なんです。星の輝く夜も黒か濃紺色で、空気が軽やかなため、人も物も、すべてが漆黒に見えるのです…」(50P)。
スペイン大好きの女朋友はそういえばいつも黒を身につけている。この話と関係ないと思うが…。
水について初めて知ったことがある。「水には恵まれた日本だが、仏壇などに供える水を『閼伽(あか)』という。サンスクリット語(梵語)では『功徳』を希求するものらしいのだが、『アカ』という響きは、スペイン語で『水』を意味する、アグアaguaを想わせる」(130P)。
これを知ってアサちゃんに水を供えていなかったけど今日から供えることにした。
旅について「『旅をすれば、それだけ人間は賢くなる』と言ったのは、『ドン・キホーテ』の作者セルバンテスだが、喜びも悲しみをも伴うのが、旅というものであろう」(129P)と述べている。そこには著者の7歳下の弟と共にスペインを旅しようとしたが、その前に弟は亡くなってしまった。その弟を偲んで書いている。
「観光旅行」について「『観光旅行』の『光』は、『文明』であり、『文化』なのだ。『ここに陸尽き、海はじまる」というその海の彼方には、別の『文明』、別の『文化』が待っているのだ」(190P)と。
全く観光旅行の意味がそういうこととは知らなかった。これからはそういう意味を知ってその国の「文明」「文化」を理解したいものだと思う。
ここの取り上げたところはそれほどのいやらしさはないかもしれない。ところが本全体には綺麗なイメージはまったくみえない。よくもこれほどいやらしく本が書けるものだと思いながら最後まで読んでしまったが…。親の顔が見てみたいではないが著者の顔が見てみたい。いや見たくもない。きっと変なおっさんだろう…。
嫌な気分を忘れるかのように近くの人がTELしてきた。「東の空に虹がかかっているよ~」と。何年ぶりかで見た虹だった。綺麗な虹だった。
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