今から17年前の社会人大学生4年の時の一大決心をメモとして記そう。それは大学院入学に際しての「志望理由書」である。
私は激動する現代において、たとえ年齢を重ねても、時代の変化に対応できる人間になりたくて、「人間学復興」を基本理念とし、「時代の変化に対応しうる柔軟な発想を持った人材」の養成をめざす、広〇大学大学院文学研究科へ入学を志望します。
会社員時代、中国語の学習を通じて、中国はもとより広くアジアに関心を抱くようになりました。その後、ひろしまア〇ア塾で8年間、アジアについて学ぶうち、さらに専門的にアジアを理解しようと考えるようになりました。4年前、突然、勤務先の会社をリストラされたものの、これを好機ととらえた私は、現在、広〇大学総合科学部で学んでいます。初めの頃の学ぶ目的は、知的好奇心を満たすためと、暇つぶしもありました。
ところが、入学後一年も経たない時、母の骨折で病院からの通学を4か月間経験しました。そのため母の介護と大学生活で、暇つぶしは通用しなくなりました。そんななかでも学業の継続はつらぬいてきました。そのころ、自分にとって学ぶことが創り出す意味と社会的貢献について深く考えるようになりました。
私たちの生きている現代は、日本をみても教育基本法や憲法改正など変革の時代を迎えています。外国をみても昨年4月に中国各地で反日デモや暴動が発生したことは記憶に新しいことです。それ以前においても、東欧の激変、ソ連の崩壊、冷戦の終焉、9.11アメリカ同時多発テロなどの国際的事件、さらに世界各地でたびたび起こる地域紛争などがあり、世界は大きく揺れています。このように、これまで学んだ日本からみて常識的と思われたことは崩れ去ってしまいました。
そこで、私はこれまで学んだことを活かしつつ、「いかに生きていくべきか」を過去の人間のさまざまな営みから学び、まだ現代を直視して問い直し、それによって未来への位置づけを考え、学業終了後はシニア海外ボランティアなどに参加したいと思うようになりました。このことが私にとっての学ぶ意味となると同時に、少しでも社会に貢献できるものと考えます。
そのために、私は広〇大学大学院文学研究科(博士課程前期)の研究分野の「歴史文化学」の概要にある「日本をはじめ世界各国・各地域の歴史文化を、相互の歴史的関連性を重視して総合的・多角的に追求」して、「一国の単位や従来の研究の枠組みにとらわれず、日本・アジア・ヨーロッパといった広い領域での相互関連性と多様性をふまえた新たな歴史文化学の研究」に挑みたいと思いました。
現代社会においては隣国の動向は常に日本に跳ね返ってきます。そして直ちに現代中国に関心を持つことができます。しかし、私を含めて日本人の中国観のなかで忘れられているのが近代中国の存在ではないでしょうか。そこで私は古い中国が崩れ、新しい中国が生まれる過渡期の近代中国を、べつの中国とみないで考えたいと思いました。
とりわけ近代中国の政治思想や文化を検討することで、古い中国を知り、そこから始まっている新しい中国を考えることになると思いました。この近代中国の時代区分は清朝末期(1840 -1911 )と中華民国(Ⅰ912-1949)の100年間です。この100年間は帝国列強に侵略された悲惨な時代でしたがひとつの思想・文化に縛られない自由な時代であったように思います。
近代中国を理解することは、小泉首相の靖国神社参拝などでギクシャクとしている現代の日本と中国との関係を理解できると考えます。この両国との関係には「反日」という問題があります。「なぜ中国は反日なのか」を、メディアを通じて流される情報だけでなく、「反日」のもつもっと深い意味を知るためにも近代中国を理解したいと思いました。
そこで「歴史文化学」の研究分野のなかでも、「中国近現代史に重点」をおき、「政治・経済・社会・文化交流などの多様な視覚」から取り組め、加えて、「文献読解・現地調査能力を鍛え、新たなアジア史像の構築を目標」とする「東洋史学」専門分野で研究したいと考えました。
それには政治的混乱のつづく民国初期の中国に現れた新たな胎動としての新文化運動の牽引車の役割を担った近代中国の思索者たちを研究することで、現代中国の理解となるのでないかと思います。近代中国において、最初の中国史像の抜本的見直しをしたのは梁啓超でした。しかし私は思索者たちのなかでも、後に毛沢東に影響を与えた李大釗にスポットを当てて研究することで、より深く近代中国理解となると思います。
これまで述べてきたようなことから、私は広〇大学大学院文学研究科に入学志望を決めました。
追記)実際に研究したのは入学後の指導教官のアドバイスで研究つくされた李大釗ではなく、当時まだあまり研究されていなかった分野である。大学院入学に際して他にも研究計画書を提出した。その際、周りに誰も相談する人がいなかった。が、中国語を習っていた頃に知り合った中国の留学生で理学博士号を取得していた人に参考となる本を教えてもらい、それを参考にして提出した。いざという時、相談できる人がいて幸いだったし、また大変ありがたかった。
長々と記した。これも自分の人生の一頁!?
ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!