『街道をゆく』(34)「大徳寺散歩」(司馬遼太郎 文藝春秋、1997年第3刷)から気になる箇所を記そう。最後に記した出石の宗鏡寺はいつか行きたいと思っている。早速、行きたいリストにメモした。
ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!
★真珠庵は、いかにもその名が美しい。大徳寺を行政的に束ねる本坊の北にある。有名な枯山水の庭を持つ大仙院と接し、さらにその北に、関ヶ原のあと、加賀の前田利家の未亡人マツ(芳春院)が寄進した、芳春院がある。芳春院には、小堀遠州(一五七九~一六四七)が設計したとされる美しい二重楼閣があって、このあたりには、桃山文化や日本史が、ぎっしり詰まっている。真珠庵は、建物も庭も美しい。(51p)
★真珠庵にいる。本堂に、一休書の一行ものの墨跡が、二幅になって、聯のように掛けられている。すみずみまで力があふれているだけでなく、えもいえず優美なのである。さらにいえば、信じがたいほどに清らかな魂魄が、たかだかと天に架かっている。
諸悪莫作(しょあくまくさ) 衆善奉行(しゅぜんぶぎょう)
いっていることは、それだけである。”わるいことをするな、いいことをせよ”というだけの意味である。(91p)
★黒地に白く”金毛閣”と大書された扁額がたかだかかかげられている。金毛とは、金毛の獅子のことで、すぐれた禅僧のことをいう(『雲門録』上)。精神の王者と解してもいい。……中国の宮殿の正門のようなものを、豊臣時代に建ててしまったのである。当時もその後も、御所十二門の第一門ともいうべき建礼門でさえ、この門にくらべれば、古雅で、ささやかで、じつに小さい。……このように、おそるべき楼門を建てた人が、わび茶の完成者である千利休(一五二二~九一)であったことにおどろかされる。(108p)
★かつて、私は沢庵にゆかりのある出石の宗鏡寺(すきょうじ)をたずねたことがあり、周りのたたずまいもよくて、このあたりを故郷にすれば生涯わすれがたいだろうとおもった。沢庵も、この故郷が好きで、一生のうちで何度も帰っている。(123p)
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