2017年5月20日土曜日

『ホロコーストを次世代に伝える』

 アウシュビッツ・ミュージアムの日本語ガイド、中谷剛の著著『ホロコーストを次世代に伝える』(岩波書店、2007年)をさっそく読んだ。5月8日にアウシュビッツ・ミュージアムを訪れた。この日は中谷氏によると奇しくもヨーロッパ戦勝記念日だそうだ。第二次世界大戦において連合国ドイツ降伏させたとして、ヨーロッパにおける勝利を記念する日らしい。敷地の一角には花束が手向けられていた。

 本の内容とご本人のガイドを聞いたこととはほぼ似ている。アウシュビッツ・ミュージアムの館長だったスモレン氏は30年以上も館長を務め、ミュージアムを案内された。どういってもアウシュビッツ収容所で生き残った人である。そういう人が館長をされていたと知って驚く。

 アウシュビッツ強制収容所の世界遺産登録に関してこれを開設した国がドイツであったこと。これを強調するため、ユネスコに対してその名称を「アウシュビッツ・ビルケナウーナチス・ドイツの強制・絶滅収容所(一九四〇-一九四五年)」とする登録変更を求める。そして二〇〇七年六月に正式に認められる。これはガイドでは話されなかった。

 逆に中谷さんのガイドで知って本にないこともある。それはユダヤの民の職業。日本でも以前にあった士農工商。商業は最下位だった。ユダヤの民は商人や医師に多い。人を切ったりする医者の仕事をユダヤの民にさせたとか。商業も金貸し業などお金儲けの才能に長けたユダヤの民。

 「ヒトは自分よりも下にいたと思える人が上になるとどう思いますか?」。ユダヤの民は金もうけの才能に長けてお金持ちになる。見下していた人たちは彼らを許せなくなって迫害する。ガイドをされながらそれを聞く私たちにいろんな問を投げかけられる。下と思っていたヒト(国や民族でもいい)が上になれば…。この感情、わかる気がする。

 アウシュビッツの収容所郡に入るところに有刺鉄線が張り巡らされている。今でもゲートには”ARBEIT MACHIT FREI” (働けば自由になる)の文字がついたまま掲げられている。この意味を現地ガイドから聞いたかどうかは覚えていない。しかし、この言葉の意味は重い。

 ユダヤの民については以前ある講座で「イディッシュ文化」を知って以来の関心事となった。これから少しずつそれもわかればいいかなと思ったりする。
アウシュビッツ・ミュージアム入口
ゲートには”ARBEIT MACHIT FREI” (働けば自由になる)の文字が掲げられている

5月8日は戦勝記念日
お参りの献花

0 件のコメント:

コメントを投稿