『東山魁夷の世界』(東山魁夷、美術年鑑社 2005年)を読んだ。というよりも見た、が当てはまるかもしれない。本の中の絵は先日の展覧会グッズ売り場で買った日経のポケット版の内容と似ている。それも当然。同じ画家の描いた絵。しかし、本の最後に千住博が講演会で話した内容の掲載がある。「東山魁夷・静かなる革命/ひとすじの道」。この中で気になる個所を記そう。
・美とは、美しいと感じる心のことなのです。(美の期限より)
・これは私の個人的な考えですが、日本画の巨匠の先生方はすごく長生きです。それは日本画の絵具である天然ミネラルをいつも触ってるからだと密かに考えているのです。(美の期限より)
・光と、余白を塗る、そして青い色という東山先生の特徴は、ヨーロッパに触れる、ヨーロッパ絵画に触れる、そしてヨーロッパのさまざまな文化的刺激に触れるドイツ留学という決定的な影響であると捉えることができます。そしてその普遍性ゆえに東山先生以降の日本画家に絶大な影響を与えてゆくことになるのです。(東山芸術の特徴より)
・(中国の風景画論の四つの段階から)一つ目は行って見たい風景、次に行くだけでなくそこで遊んでみたい風景、その上にそこで住んでもよい風景がある。さらにその上があり、それはそこで死んでもよい風景であるとする、これが中国の風景画論です。
・中国において究極の風景は、ユートピアです。日本の絵にも、四季の花を一つの画面に描くスタイルがあります。なぜ四季の花が全部咲いているのか、それはユートピアだからです。中国の画論において山水画はそういう形で展開したのです。
・少年が、いろんなものを見て何だろう、何だろうと不思議に思う、そういうまなざしが先生のまなざしなのです。
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