2020年1月8日水曜日

『上海遊記』

 いつもと風が吹く向きが違うのか、今朝は明け方から列車の通る音が異常に大きく聞こえる。天気予報を見ると風が強まるとある。先ほどまでは陽もあたって荒れ模様になるとは思えない。列車の遅延情報を見ると在来線も新幹線も遅れが生じている。

 図書館で借りた芥川龍之介の『上海遊記』は『芥川龍之介紀行文集』(岩波書店、2017年)におさめてある。1921年の著作は今から約100年前になる。古い本、と思って借りたら2年前に新たに編集されての出版だった。誰も借りて読んでいないのか本が真新しい。『上海遊記』は70頁あり、当時の上海の様子が見て取れる。まだ全部を読み終えていないが上海の観光名所である豫園にある湖心亭について次のように書いている。

★湖心亭と云えば立派らしいが、実は今にも壊れ兼ねない、荒廃を極めた茶館である。その上亭外の池を見ても、まっ蒼な水どろが浮かんでいるから、水の色などは殆ど見えない。……その一人の支那人は、悠々と池へ小便をしていた。……そう云えば成程空気の中にも、重苦しい尿意が漂っている。……「御覧なさい。この敷石に流れているのも、こいつはみんな小便ですぜ。」四十起氏は苦笑を漏らした儘、さっさと池の淵を曲がっ行った。……湖心亭は畢(つい)に湖心亭であり、小便は畢に小便である、私は靴を爪立てながら、忽忽四十起氏の跡を追った。出たらめな詠嘆なぞに浸るものじゃない。(85-86p)

 それにしてもこの不潔さはひどい。新聞記者として出かけた芥川が見た当時の上海。この先もこういった描写が多いのだろう。今日はこの『上海遊記』を読み終え、ほかの紀行もついでに読むのも面白そうだ。

 昨日は広島交響楽団の2020年4月から21年3月までのYear Bookが届く。来年度は被爆75年、ベートーベン生誕250年なので平和やベートーベンにちなんだコンサートがある。さらに今年は12月に被爆75年の特別演奏会も予定されている。広響の広島市内の定演以外に、東広島市と廿日市市で徳永二男や前橋汀子がゲスト出演の定期演奏会もある。この2人は是非とも聞きに行こう。

 ともあれ今日も元気で楽しく過ごしましょう!

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